Project/Area Number |
22KJ0521
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Project/Area Number (Other) |
21J00645 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 06010:Politics-related
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Research Institution | Nagoya University of Commerce & Business (2023) The University of Tokyo (2021-2022) |
Principal Investigator |
千坂 知世 名古屋商科大学, 経済学部, 講師
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 権威主義 / 選挙不正 / 選挙管理 / イラン / イラン政治 / 選挙権威主義 / EMBs / 抗議デモ抑止 |
Outline of Research at the Start |
冷戦終結以降、選挙を行うが民主化しない選挙権威主義国の数が急速に増加している。これらの国で行われる国会選挙では現職再選率が低い傾向にあり、これは先進民主主義国の選挙研究の定説「現職優位論」とは対照的な現象である。権威主義体制下の国会選挙においては、独裁者が側近を当選させるような選挙操作を行うことができるにも関わらず、なぜ現職再選率が低いのであろうか。このパズルを解明するために本研究においては民主的なメカニズムとは異なる権威主義特有の政治要因を理論的に導出し、実証的に示すことを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、権威主義体制における現職再選率の低さに着目し、その要因を国会選挙管理の方法から探ることである。2~3年目となる2023年度は事例分析を中心に以下の研究を実施した。2023年4月~8月、米国スタンフォード大学において、比較政治学(権威主義、中東研究)の世界的第一人者Lisa Blaydes教授の受け入れの下、客員研究員として在外研究に従事した。イランの国会選挙管理過程について執筆した論文は中東研究者の間で広く読まれる査読誌Middle East Journalに採択された(2023年6月)。さらに、イラン特有の国会選挙管理がもたらす帰結について、Green LibraryやHoover Libraryに所蔵されているイランで出版されたペルシャ語の本や新聞を収集し、分析した。具体的には、革命後に初めて改革派で選挙管理を担ったハタミ政権の内務次官Mostafa Tajzadehによる2000年国会選挙の選挙管理の記録Rai-ye Mellatを用いた。結果、最高指導者と大統領の二元体制がとられる国会選挙管理によって、選挙管理の実働を担う内務省が意思決定権を持つ宗教機関を批判すること、そしてその内容は既存研究で指摘されてきた立候補者の資格審査のみならず、選挙スタッフの選定や結果の承認の選挙区レベルと最終段階での差異など多岐に及ぶことが分かった。この成果は帰国後2023年9月以降に論文The Conflict Within: The Politics of Parliamentary Election Management in Iranとしてまとめ、現在は国際誌Democratizationにて査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分析対象の事例を複数国からイラン一国に変更したものの、分析の時間軸を広げることで主張を支えるために十分なデータを確保できている。具体的には、本研究はもともとイスラーム革命後のイランを対象にしていたが、スタンフォード大学での在外研究中、革命前の王制期に活動していた野党が編纂した書籍やイランの主要紙Keyhanにアクセスできたことがきっかけで、1950~60年代の国会選挙の運営過程に生じた紛争も確認することができた。王制期の場合、外国(特に米国)の干渉のもとに国会選挙が運営されていたことが大きな特徴であり、それが野党からの批判対象となっていたことが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
・本年度はまず王制期イランにおける国会選挙を分析した論文Iran and the United States: How Majlis Elections Cultivated Their Communication, 1954-61を、世界トップクラスの中東研究雑誌International Journal of Middle East Studiesに投稿予定である。 ・さらに、イランの選挙についての本出版に向けて原稿を執筆する予定である。これはBlaydes教授をはじめアメリカで交流した諸研究者からのすすめである。本研究は権威主義体制下の選挙研究を中心に比較政治学にも貢献するものであるが、データの制約から比較政治学での著書出版に必要な量的分析が困難となる見通しである。そこで、イラン研究により重きを置いた本の出版を目指す。今後は、王制期のデータ収集が途中なので、アメリカで集めたペルシャ語新聞の読解を継続する。またイスラーム体制発足後40年の歴史の中で、国会選挙管理制度は数回変更され、直近では2023年に法改正が行われた。よって最新の法律の変更点の翻訳、および体制の意図を分析する。それらを合わせた原稿を数年以内に欧米のBook Conferenceで発表し、編集者とのネットワークを構築し出版に繋げる予定である。
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