ポジトロニウムのレーザー冷却の実証と量子縮退状態への到達
Project/Area Number |
22KJ0637
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Project/Area Number (Other) |
21J21494 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 15020:Experimental studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田島 陽平 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | ポジトロニウム / レーザー冷却 / 反物質 / ボース・アインシュタイン凝縮 / レーザー分光 |
Outline of Research at the Start |
ポジトロニウムは電子とその反物質である陽電子から成る二体の束縛系であり、有限寿命の水素様原子である。レプトンのみで構成された単純な構造であるため、量子電磁力学の精密な検証の舞台として重要な原子である。また、質量が電子二個分と非常に軽いことから反物質を含む系における最初のボース・アインシュタイン凝縮達成の最有力候補とされている。 本研究では、ポジトロニウムにおける精密レーザー分光と量子縮退状態の実現を目指す過程において開拓が不可欠と考えられる、ポジトロニウムのレーザー冷却の有効性を実証することを目標とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに、レーザー冷却のために構築した高速チャープレーザーパルス光源を真空中のポジトロニウム集団に照射し、速度変化をとらえるための実験を実施した。また、その際に問題となる系統誤差を徹底的に低減するための研究を進めてきた。 本年度では、ポジトロニウム(Ps)におけるレーザー冷却効果を確固たるものと示すために、冷却による速度分布の変化をより緻密に捉えることを目指した。その際に課題となったのは信号量の小ささであった。従来ではある速度をもつPsの個数を測定する場合、対応する周波数をもつレーザーによってPsを励起したのち電離させ、生じた電離陽電子の対消滅時に発生するガンマ線を観測することで間接的に調べていた。しかしながらこの手法は、ガンマ線の発生位置と検出器の位置で決まる立体角によって検出効率が制限されており、その効率は約1%であった。そのため、速度分布を精緻に捉えるために速度分布測定用のレーザーの線幅を狭めた場合、信号量が減少し、加速器施設から与えられた実験期間では期待される信号量の変化が有意に観測できるほどの統計量を確保できない問題があった。 そこで新たにMCPを用いて電離陽電子を直接的に観測する手法を導入した。真空チャンバー内に設置したMCPの表面を適切な負の電位にすることで、電離陽電子を収集し、MCPで生じた電流を信号として検出した。実験から、従来の方法から桁違いに高い電離陽電子の検出効率を達成したと考えられる結果を得ることができた。これによって高分解能な速度分布の変化を測定することが現実的な時間内に十分可能となった。 さらに、Psの微細構造や冷却レーザーの時間構造・周波数構造を忠実に取り入れた冷却シミュレーションの開発も完了し、実験と対応付けられる数値計算が可能となった。以上によって、レーザー冷却実験におけるPsの速度分布の変化を緻密に捉える準備を整えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の成果によって、制限されている実験期間内に確固たる冷却の効果を観測するうえで最大の障壁であった信号量の確保において、桁違いの改善を達成できたため。可能な限り現実に即したシミュレーションの構築も含めて、最終年度におけるレーザー冷却の実証実験の準備が整ったと考えられ、順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に行ったMCPによる電離陽電子の検出について、ゲインの変動や電離陽電子信号のカウンティングなど十分な解析を行ったのち、よりよいSNRでの測定・解析について考察する。必要であればMCPのゲインをパルス的に操作することで、光の信号と電離陽電子の信号の分離を行う。その後、MCPによる電離陽電子の検出手法を導入したうえで、残された2回のビームタイムにおいてレーザー冷却実験を実施し、速度分布の明瞭な変化を観測する。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)
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[Presentation] ポジトロニウムのレーザー冷却の実証実験2022
Author(s)
田島陽平, 山田恭平, 魚住亮介, 石田明, 難波俊雄, Randall W. Gladen, 浅井祥仁, 五神真, 大島永康, オロークブライアン, 満汐孝治, 伊藤賢志, 鈴木良一, 兵頭俊夫, 望月出海, 和田健, 蔡恩美, 周健治, 吉岡孝高
Organizer
日本物理学会 2022年秋季大会
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[Presentation] ポジトロニウムのレーザー冷却実験2022
Author(s)
魚住亮介, 田島陽平, 石田明, 難波俊雄, 浅井祥仁, 五神真, 大島永康, オロークブライアン, 満汐孝治, 伊藤賢志, 鈴木良一, 兵頭俊夫, 望月出海, 和田健, 蔡恩美, 周健治, 吉岡孝高, Randall W. Gladen
Organizer
日本物理学会 2022年秋季大会
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[Presentation] ポジトロニウムのレーザー冷却実証に向けたドップラー分光法の開拓2022
Author(s)
小林 拓豊, 田島 陽平, 魚住 亮介, 蔡 恩美, 石田 明, 難波 俊雄, 浅井 祥仁, 五神 真, 大島 永康, オローク ブライアン, 満汐 孝治, 伊藤 賢志, 鈴木 良一, 兵頭 俊夫, 望月 出海, 和田 健, 周 健治, 吉岡 孝高
Organizer
日本物理学会第77回年次大会
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[Presentation] Development of a chirped pulse laser for cooling positronium2021
Author(s)
Y. Tajima, K. Yamada, T. Kobayashi, R. Uozumi, A. Ishida, T. Namba, S. Asai, M. Kuwata-Gonokami, K. Shu, E. Chae, K. Yoshioka, N. Oshima, B.E. O’Rourke, K. Michishio, K. Ito, K. Kumagai, R. Suzuki, S. Fujino, T. Hyodo, I. Mochizuki, K. Wada and T. Kai
Organizer
12.5th International Workshop on Positron and Positronium Chemistry
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