位相安定な高強度中赤外光パルスによる高速物性制御とそのサブサイクル分光計測
Project/Area Number |
22KJ0666
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Project/Area Number (Other) |
21J22162 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 13020:Semiconductors, optical properties of condensed matter and atomic physics-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山川 貴士 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 超高速現象 / 強誘電体 / フェムト秒レーザー / 非線形光学 / 強相関電子系 / ドレスト状態 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、中赤外パルスによって誘起される光/電場誘起現象の探索を行う。中赤外域では、光電場のピーク値が10 MV/cmを超える強電場パルスを発生させることができ、非摂動的な応答を引き起こすことが期待できる。また、中赤外域に多数存在するフォノンを共鳴励起することによって、系を高速変調することも可能である。このような光/電場誘起現象を実時間観測するための測定系を構築・拡張し、新規現象の探索とその機構解明を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
高強度フェムト秒中赤外パルスを励起光とした固体のサブサイクル分光測定による研究を行っている。サブサイクル分光とはポンプ・プローブ分光の一種であり、ポンプ光の電場の周期より短い時間幅のプローブ光を用いるものを指す。本年度は、水素結合型強誘電体を対象に、中赤外パルス照射によって強誘電分極を高速制御することを目的とした研究を行った。 まず、プローブ光として使用するための近赤外極短パルス光源を構築した。これまで、プローブ光として非同軸光パラメトリック増幅器のシグナル光である可視7フェムト秒 (fs) パルスを使用してきた。強誘電分極の変化を直接測定するには、プローブ光に対する第二高調波発生を観測することが有効であるが、そのためには近赤外極短パルスが必要であった。そこで、これまで使用していた光源にて副次的に発生するアイドラー光を使用できるように光学系を整備した。アイドラー光の角度分散を補償し、形状可変鏡を用いてパルス圧縮を行うことによって、中心波長1150 nm、時間幅11 fsの近赤外極短パルスの発生に成功した。 水素結合型強誘電体クロコン酸に対して、プロトン振動に関係する分子内振動モードを中赤外パルスによって共鳴励起する実験を行った。測定は室温にて行った。ポンプ光は中心周波数60 THz、電場振幅9.0 MV/cmであった。第二高調波発生の強度変化の大きさから、強誘電分極が約20%の振幅で高速変調されたと見積もられた。また、プロトン振動励起によって分極が減少し、それにともなって格子変形が誘起されたと考えられる応答が観測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では60 THzを超える周波数で強誘電分極を変調し、それを実時間観測することに成功した。これほど高い周波数で強誘電分極を制御・観測した例は水素結合型強誘電体以外ではなく、水素結合中のプロトンに着目した高速物性制御の有効性を示す結果が得られたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は構築した光学系を使用して他の物質系での研究を進める。対象物質は有機分子性固体のκ型BEDT-TTF塩である。この物質は低温にて強誘電的な電荷秩序状態へのゆらぎを示唆する応答を示す。そこで、中赤外パルスを用いてBEDT-TTF二量体内の電荷分布を変調することによって、過渡的な強誘電電荷秩序状態を効率的に形成させることができると期待される。可視プローブ光を使用して二量体内の電荷分布の変化を、近赤外プローブ光を使用して反転対称性の破れを検出する。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)