Project/Area Number |
22KJ0681
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Project/Area Number (Other) |
21J22390 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 03020:Japanese history-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 聡一郎 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2023: ¥200,000 (Direct Cost: ¥200,000)
Fiscal Year 2022: ¥200,000 (Direct Cost: ¥200,000)
Fiscal Year 2021: ¥200,000 (Direct Cost: ¥200,000)
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Keywords | 戦争違法化 / 再軍備 / 治安政策 / 冷戦 / 法規範 / 警察予備隊 / 事実上の戦争 / 再軍備過程 / 日本国憲法 / 戦後法制改革 / 治安出動 / 戦間期 / 戦時 / 平時 / 警察 / 事変 / 国際法 |
Outline of Research at the Start |
軍事と警察が概念的・制度的に分離された後も、軍隊がデモの鎮圧を行ったり警察という名目で事実上の軍隊がつくられたりといった混用はなくならず、戦争が違法化されると「警察」概念は一層拡大する。しかし分離したはずの「警察」概念を軍事の領域に持ち込むことは、制度設計・運用上の問題‐関与する主体・行動原則・依拠する法規の違いをどう整合させるか‐を生み出した。本研究では、①戦争の違法化、②戦後日本の警察制度「民主化」による「警察」概念の変容、の画期に着目し、満州事変や日中戦争、再軍備といった戦争違法化体制期‐1920‐50年代‐の事象を題材に、「警察」概念が軍事の領域に及ぼした影響を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は①2021~22年度における研究成果の精錬、②新たに見出した研究対象の新規分析の二方向で研究を行った。①について具体的には、前年度に査読誌へ投稿した論文の改稿作業を行った。戦後日本の再軍備と治安政策とが運用上連携と棲み分けを行っていたという軸で論文全体の趣旨を再構成するとともに、新たに地方紙などを分析して実証の密度を高めて再投稿し、掲載が決定した。②については、戦後日本の治安政策、特に岸信介内閣における警察官等職務執行法改正問題に関する一次史料を国立公文書館で見出し、分析を加えた。 以上のように締めくくった2021~23年度の研究を通じ、「警察」機関として始まった冷戦初期日本の再軍備の特質を解明することができた。すなわち、警察予備隊をめぐる制度設計や運用において政治家や官僚、幕僚は、公安委員会ら一般警察の関与規定、部隊出動の可否や使用できる武器などをめぐって「警察」という法概念が要請する判断を要請されていたことが分かったのである。これは、日本国憲法第9条との整合性を保つために為政者が持ち込んだ「警察」という建前が、思いがけない形で逆に為政者の行動を拘束したことを意味する。本研究はこの成果を、戦争禁止や軍備縮小の法規範をかい潜るために持ち込まれた建前が新たな法規範となって為政者の行動を拘束するという、戦争違法化の時代特有の法規範の働きの重層性の一端を解明したものと位置付けた。 なお今後は、統治エリートの内部で影響力を持つ法規範にかわって、統治エリート全体を外から拘束したであろう社会規範の影響力を分析する。法規範と社会規範が軍事の領域でどのような影響力を保持したか解明することで、規範が現実をいかに規定するのかという普遍的な問いに対する一つの事例的解答を与えたい。
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