Project/Area Number |
22KJ0724
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Project/Area Number (Other) |
22J00337 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 13010:Mathematical physics and fundamental theory of condensed matter physics-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
日浦 健 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 情報熱力学 / 異常輸送 / 非平衡統計力学 / 反応速度論 / ゆらぐ流体力学 |
Outline of Research at the Start |
生物は外部環境のゆらぎを信号として、その情報を自身の形質や行動へとフィードバックさせ ることで適応的に増殖する。本研究は、第一に、生体内の情報処理過程に潜むゲーム論的構造 を明らかにし、レアイベントに関する新たな統計的性質を解明すること、第二に、ポートフォ リオ理論や学習理論を援用して、環境の統計的性質を学習しながら最適性を実現するような生 物の適応戦略について理論的に調べることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
軸索輸送を担う分子モーターであるキネシン-1の速度がin vitroに比べて細胞内の方が5倍程度速いという現象がある.この現象を細胞内の有効温度が増大しているという点に着目して,トイモデルを構築して情報熱力学の観点から解析を行った.具体的には,異なる温度の熱浴に接触したプローブとモーターの間の情報流を調べた.加速現象が起こることがわかっている化学反応律速の極限で情報流を計算し,モーターからプローブへの情報流が消失することがわかった.この結果の一般化や計画していたマルチンゲール理論に基づいた解析は現在検討中である. 次に,マクロ系における情報流を解析するための例題として,情報流のような概念が定義されるメソスケール記述からマクロスケールでの記述への移行が非自明になる異常輸送の基本的な性質を調べた.今年度は,連続対称性の破れと異常輸送が絡み合う問題として,XYスピン系の熱伝導現象を考察した.このモデルの長距離の振る舞いを記述するゆらぐ流体方程式を導出し,輸送係数が赤外でどのようにくりこまれるかを議論した.その結果,拡散以外の剛性に由来する可逆な熱輸送の存在のために,2次元では熱伝導度がマクロ極限で対数的に発散することがわかった.一方,2次元より高い次元では,相対的にゆらぎの効果が小さくなるため一定値に収束することがわかった. また,本研究計画からは少し外れるものの,上のモデル系に関連した問題として,せん断流下における渦の相互作用を調べた.その結果,弱せん断流極限の下では,渦の動力学は渦間相互作用であるクーロン相互作用とせん断流による移流の効果によって記述されることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り分子モーター系の情報熱力学的解析を開始したが,マルチンゲール理論に基づいた非自明な予言や普遍的な不等式制約といった課題については停滞している.一方,予定していなかったマクロ系の非平衡現象について思わぬ発展があり,情報流の視点から研究することでさらなる興味深い発展が期待される.以上を総合して,おおむね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
分子モーター系を例題としてマルチンゲールに基づいた解析を進めると共に,その結果の一般化を進める.また,最終年度に計画していた進化ダイナミクスにおけるユニバーサル戦略や絶滅時間解析についても少しずつ取り組む予定である. 当初計画していなかったマクロなスピン系の輸送現象について大きな進展があり,赤外異常を示す系を本研究課題の視点から分析する可能性が開けたことを踏まえて,上記に加えて,マクロ系での情報流を場の理論的に解析する手法についても検討する.
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