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形式意味論における合成性原理の包括的研究:メタ意味論としての言語哲学

Research Project

Project/Area Number 22KJ0734
Project/Area Number (Other) 22J00561 (2022)
Research Category

Grant-in-Aid for JSPS Fellows

Allocation TypeMulti-year Fund (2023)
Single-year Grants (2022)
Section国内
Review Section Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

高谷 遼平  東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(PD)

Project Period (FY) 2023-03-08 – 2025-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Keywords言語哲学 / 意味論 / 合成性 / 文脈主義 / 命題 / メタ意味論 / 形式意味論
Outline of Research at the Start

本研究の目標は、言語哲学や形式意味論において基礎原理とされる合成性「複合表現・文の意味は、そこに含まれるより単純な表現の意味と構造によって決定される」の理論的な身分の解明と適切な定式化を通し、形式意味論の方法論基盤を確立することである。具体的には、二重指標意味論を始めとする哲学的意味論や生成文法派の意味論、動的意味論などさまざまな理論における合成性のあり方をメタ的な視点から捉え、それらの正確な理解と比較に基づいて形式意味論の理論的土台をより強固なものにすることが目指される。

Outline of Annual Research Achievements

本年度は、主に次の2点についての研究を行った。すなわち、A)二重指標意味論のありうる応用方法について、そしてB)哲学的意味論と言語学的な意味論の比較に基づく合成性概念の意義解明である。
A)について、二重指標意味論を応用することで得られる4つの哲学的意味論、すなわち、指標的文脈主義、非指標的文脈主義、真理相対主義、内容相対主義を認識様相文や嗜好述語を材料に分析し、標準的な見解に反して内容相対主義もまた哲学的意味論として一定の優位性があることを示した。内容相対主義とは、ある発話の真理値に関してその発話文脈ではなく値踏みがなされる文脈(いわゆる査定文脈)が発話内容そのものをも変動させるという考えである。この考えを用いることで、会話の中で変動していく情報状態を発話内容そのものの変動とし、特に認識様相文を含むような会話においてそのほかの3つの立場より優れた分析を与えることが可能となった。以上の研究成果は科学基礎論学会で口頭発表され、現在論文化が進められている。
次にB)について、主に哲学的意味論で使用される内包的アプローチと言語学で使用される外延的アプローチを、命題概念と合成性概念の点で比較した。内包的アプローチとは、世界や時点、代名詞をメタ言語上のパラメータとして分析するアプローチであり、対して外延的アプローチはこれらの情報を対象言語の論理形式上で分析するアプローチである。本研究においては、これらのアプローチがいわゆる命題概念の内実に影響を及ぼすという標準的な考えは誤っているということを、「命題は合成的に決定される内容概念か否か」という点から明らかにした。以上の研究成果は日本科学哲学会で口頭発表され、現在論文化が進められている。また、この研究に関わるものとして、現実性オペレータや様相オペレータの取り扱いに関するアプローチの選択と合成性概念の内実に関する論文が現在査読中である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究計画からの変更はあるものの、おおむね順調に進んでいる。その理由は以下である。
本年度の研究は、現状統一されているとは言い難い自然言語における合成性概念の解釈・定義について文脈概念を用いることで適切な定式化を与え、その合成性との整合性という観点から意味論における「構造」概念の本性に迫ることが目的であった。
まず合成性の適切な定式化に関連するものとして、前年度に続いて二重指標意味論を中心的な考察対象と据えていくつかのありうる応用理論の比較を行った。この研究は各理論における合成性概念のあり方を解明することのみならず、合成性概念の新たな拡張可能性を示唆するものであり、想定されていた以上の進展があったと言える。特に二重指標意味論の応用理論としてあまり着目されることのなかった内容相対主義に目を向けることで、発話文脈ではなく査定文脈を考慮した合成性の定式化を目指すとともに、この合成性概念が自然言語の意味原理として望ましいものであるのか検証を行っている。
次に意味論的な「構造」概念については、計画の変更があった。当初は組み合わせ範疇文法など現代の言語学理論における構造概念なども視野に入れて研究する予定であったものの、より基礎的とも言えるいわゆる「論理形式」のみを考察対象とした。具体的には、自然言語の構造としての論理形式に代名詞や時点、世界に関する変項を含むのか否かという伝統的問題に再度注目し、この問題を解決するための1つの基準として合成性が機能するのではないかという目論見のもと研究を進めている。また、この研究は論理形式、合成性、そして命題という3つの概念の適切な関係を探るという側面もあるため、命題概念の内実についての研究も並行して進められている。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究は、次の二点を中心に進められる。第一に、本年度の研究の継続及び発展、そして第二に、これまでの合成性概念に関する研究成果の言語学分野への応用である。
第一の研究について、本年度は二重指標意味論の応用理論の比較とそれらの理論に適した合成性概念の定式化という成果、そして、現実性オペレータや様相オペレータの取り扱いと合成性概念の関係の明示化という成果が得られている。これらの成果を用いて、より一般的かつ統一的な形でさまざまな意味論理論に適用可能な合成性を与えたい。この点は本研究課題の根幹をなす部分であり、したがって最終年度となる2024年度内に完了させたい。また、これと同時に、特に命題という概念の内実、その性質についても研究を進める予定である。統一的な合成性概念を解明することで、我々が言語的コミュニケーションにおいて文を用いて伝達する意味、すなわち命題がどのようなものであるのかについても一定の示唆が得られると見込んでいる。
第二の研究について、本年度に行った「構造」概念の研究は特に生成文法派の意味論に対して強い影響を持つと考えている。具体的には、生成文法派を筆頭に言語学分野の意味論においては構造、もしくは論理形式上の情報を豊富にすることによってさまざまな文の解釈を可能とするアプローチ(しばしば「外延的アプローチ」と呼ばれる)が主流である一方、本年度までの研究によればこのアプローチを選択する積極的な根拠はそれほど明らかではない。したがって本年度は、外延的アプローチとそれに対置される内包的アプローチ(内包的アプローチは哲学的意味論において採用されることが多い)の比較を通し、哲学的視点から得られた「統一的な合成性概念」が言語学的なアプローチにどのような影響を持つのかを明らかにしたい。

Report

(2 results)
  • 2023 Research-status Report
  • 2022 Annual Research Report
  • Research Products

    (2 results)

All 2023

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 内容相対主義の可能性2023

    • Author(s)
      高谷遼平
    • Organizer
      科学基礎論学会2023年度総会と講演会
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] 意味論の「外延化」は何をもたらすのか2023

    • Author(s)
      高谷遼平
    • Organizer
      日本科学哲学会第56回大会
    • Related Report
      2023 Research-status Report

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Published: 2022-04-28   Modified: 2024-12-25  

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