Design of proton-conducting solid oxide electrolysis cells and electrochemical reactors for ammonia electrosynthesis systems
Project/Area Number |
22KJ0807
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Project/Area Number (Other) |
22J11546 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 64030:Environmental materials and recycle technology-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡崎 萌 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | アンモニア電解合成 / 窒素還元 / プロトン伝導性セラミック電解セル / 固体酸化物 / エネルギーキャリア |
Outline of Research at the Start |
アンモニアは高いエネルギー密度や水素含有率を持つため、エネルギー貯蔵・運搬への利用が期待されている。従来のハーバー・ボッシュ法によるアンモニア合成では環境負荷が課題であるが、水と空気中の窒素からアンモニアを電気化学的に合成する電解合成法は、再生可能エネルギーの出力変動にも迅速に対応可能である。本研究では、プロトン伝導型固体酸化物電解セルを用い、電極構造やセル構造の工夫などにより、アンモニア電解合成の反応機構に基づいたセル性能の向上と作動温度の低下を目指す。すなわち、高速かつ高効率なアンモニア電解合成を実現する電気化学セルと反応器を開発し、それらを基に新しい電解合成システムを構築する研究である。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度には、アンモニア電解合成に向けたプロトン伝導性セラミック電解セル(Protonic Ceramic Electrolysis Cell; PCEC)の「反応機構に基づいたセルの高性能化」と「作動温度の低温化」の目標に対して、PCECの電極構造とセル構造の観点からセルの開発及び電気化学評価を行った。 カソード側の雰囲気を窒素のみから窒素と水素の混合雰囲気に変更することによってアンモニア生成速度は加速するが、その反応機構及び反応場の解明は課題となっている。本研究ではまず、窒素と水素を共供給した一室装置において、電解質支持型セルの電極構造に着目することで、反応場に関する議論を行った。三相界面を多く有するサーメット電極に比べ、触媒金属のみを含む電極でもアンモニア生成速度が同等に加速されたことから、電解質材料・触媒材料・供給ガスが接する三相界面以外にも電極上に反応場があると示唆された。さらに、電極の膜厚の観点からは、電解質近傍の限られた領域のみが電気化学的に有効であることを確認した。これらの反応場に関する知見を基に、更なるカソード電極の改善及びセルの高性能化が見込まれる。 また、セル構造の検討を通して、作動温度の低温化を実現した。PCECを用いて高いアンモニア生成速度を得るには従来550 °C以上が必要とされていたが、本研究では薄膜電解質を有する電極支持型セルを利用することによって、今まで報告されているアンモニア生成速度の最大値と同レベルの生成速度を400 °Cで観測した。電極支持型セルの電気化学特性評価から、カソード電極に分極が十分にかかること、すなわち、アノード電極と電解質由来の抵抗を抑えることがアンモニア生成速度上昇の理由だと示唆された。アンモニア電解合成用PCECの低温化は、将来の社会導入に向けて、変動する再生可能エネルギーへの適応性や熱力学的な観点から重要になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンモニア電解合成セルの電極構造からの電極上の反応場に関する探索は概ね終了した。三相界面を多く有するサーメット電極に比べ、触媒金属のみを含む電極でもアンモニア生成速度が同等に加速された。すなわち、三相界面で行われる電荷移動反応に加え、印加電圧に伴う反応促進もアンモニア生成速度の加速に寄与していることが明らかになった。これらの結果に関しては国際学会で発表しており、査読付きプロシーディングズECS Trans. にも投稿した。電極構造の検討のみからは反応機構について得られる知見は限られているが、次年度に実施予定の分光測定とも照らし合わせることで、更なる理解に繋がると考える。 セルの低温化については、400 °Cまでの低減に成功しており、本研究の目的として設定していた500 °C以下の作動温度を達成している。PCECを用い、400 °Cでも高温域と同様に高いアンモニア生成速度が得られることを実証した。電圧依存性及び分圧依存性の検証も行った。電極支持型セルを用いた低温化については、国内学会で1件、国際学会で2件の発表をしており、現在国際誌に投稿中である。 また、次年度に実施予定のフーリエ変換型赤外分光(FTIR)測定については、本年度中に装置の改造を行い、分極時におけるアンモニア電解合成の「その場」測定を行うことが可能となった。 以上のように、初年度である本年度には、本研究計画の中核となるアンモニア電解合成PCECの低温化に成功し、また、反応場や反応機構の探索に関しても発展があったため、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の低温化の成果により、新たなアンモニア電解合成システムの提案に繋がるセル開発及び評価も開始可能になったため、次年度(令和5年度)には優先的にセル開発とシステム設計を進めるつもりである。また、反応機構に基づいたセルデザインを実現するため、分極時の反応機構の追跡も行う。反応機構については、主に拡散反射型赤外分光測定を用い、セルの分極時における電極表面上の吸着種の変化を追跡する予定である。セル開発に関しては、アノード極での水蒸気電解と組み合わせた二室型セルの開発及び評価を行う。さらに、二室型セルを用いたアンモニア電解合成結果を基に、その将来的な社会導入を見据え、最終的にはアンモニア電解合成システムの設計及び効率計算を行う。以上の項目の実施を通して、反応機構に基づいたアンモニア電解合成セルの高性能化及び新たなシステムの構築に向けて、本研究課題を推進できると考える。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)