ソバ生産における生態学的集約化:送粉昆虫と野生植物の時空間動態から探る
Project/Area Number |
22KJ0849
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Project/Area Number (Other) |
22J12288 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 41050:Environmental agriculture-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永野 裕大 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 生態学的集約化 / 送粉サービス / 栄養相互作用 / 非栄養相互作用 / 送粉ネットワーク / 畦畔管理 / DNAメタバーコーディング / ソバ / 持続可能な農業 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、集約的農業で劣化した生態系機能を回復させ、農業の持続可能性を高める人為管理の構築を目標としている。具体的にはソバの送粉サービスを対象に、①畦畔管理による送粉サービスへの効果とそのメカニズムと、②訪花昆虫による花資源の利用実態を明らかにする。こうした調査結果をもとに、局所から景観スケールで「いつ」「どこで」「どのような」人為管理を行うのが最適かを探る。
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Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、「野生植物ー訪花昆虫ーソバ」の関係性について、畦畔草地とソバ畑での野外観察とDNAメタバーコーディングによる調査を実施した。 畦畔草地の野生植物は、ソバの訪花昆虫との栄養(採餌)・非栄養(夜間の休息)的な相互作用を介して、間接的にソバの送粉サービスへ影響していることが明らかになった。さらにこの2つの相互作用タイプの間接効果の比率(栄養/非栄養)が中程度の時に送粉サービスが最も高くなり、両相互作用が相補的に送粉サービスへ貢献していることが明らかになった。DNAメタバーコーディングでは、草地やソバ畑で採集した個体にも高頻度で樹木(クリなど)の花粉も付着していることがわかった。これはソバ畑に集合してきた個体がより広範囲を点々と移動していることを示唆している。 研究期間全体を通して、次の3点を明らかにした。①ソバ開花前の約1ヶ月は畦畔草地の草刈りを控えることで、ソバの訪花昆虫が増え、結実率が2割から3割向上する。②この畦畔草地の管理の効果は、畦畔の野生植物をソバの訪花昆虫が、餌資源(花粉や花蜜)と夜間の休息場所(植物の物理構造)として利用していることで発揮される。③ソバの訪花昆虫は、ソバ・草原性の野生植物・樹木の花資源を1個体が景観スケールで移動しながら利用している。 ①と②から、ソバ畑の局所スケールでの畦畔管理によって、ソバ畑へ訪花昆虫が集合・居着きやすくなる行動応答を介して、送粉サービスを向上できることをメカニズムベースで解明した。この成果は従来餌資源としてのみ考えられてきた植物の役割に加え、棲み場所としての植物の役割も重要であり、送粉サービス維持にはより多様な野生植物が必要であることを示唆している。③からは、農地ー草地ー林の関連性が1個体レベルで生じており、草地だけでなく林も含めた景観スケールでの管理を特定する重要性が示唆された。
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Report
(2 results)
Research Products
(15 results)