燐酸塩鉱物3種年代測定によるマグマ過程の解明:ウラン-トリウム放射非平衡の活用
Project/Area Number |
22KJ0851
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Project/Area Number (Other) |
22J12308 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 17040:Solid earth sciences-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
仁木 創太 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ウラン系列放射非平衡年代測定法 / LA-ICP-MS / ジルコン / モナズ石 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的はマグマの発生からマグマ溜まり内部での分化や周辺岩石との反応、さらに火山噴火や深成岩体としての固化に至るまでのマグマ過程の時間発展を捉えることである。 本研究ではマグマ溜まり中での晶出時期が異なる様々な鉱物に対して年代測定を実施する。そのためにレーザーアブレーションICP質量分析法を用いた局所微量同位体分析法の開発を進め、これまで得ることができなかった新たな年代情報の取得を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はマグマの発生からマグマだまり内部での分化や周辺岩石との反応、さらに火山噴火や深成岩体としての固化に至るまでのマグマ過程の時間発展を捉えることである。 本研究ではマグマ溜まり中での晶出時期が異なる様々な鉱物の年代分析からマグマ過程各段階に関する年代情報を取得することを試みる。そこで鉱物試料に対する放射年代測定に必要な局所微量同位体分析法を改良する必要があった。 上記の背景踏まえ、本研究課題を遂行する上での基礎となる分析手法としてレーザーアブレーションICP質量分析法を改良し、特にジルコンの局所ウラン-トリウム放射非平衡年代測定法を開発した。本手法は既存の手法と比較して汎用的な分析装置を使用し、さらに分析結果に対する複雑な解析を必要としないことから今後の応用研究が期待される。本年度はこの分析手法開発に関して論文の国際誌掲載と国際学会での発表を通じて公表を行った。 本研究課題の遂行においてはジルコンだけでなく他の鉱物種に関してもウラン系列放射非平衡系の詳細な理解が必要がある。本研究課題で特に研究対象とする鉱物はトリウム濃集鉱物であるモナズ石であり、モナズ石のウラン系列放射非平衡系を詳細に理解するため現代に近い噴出年代を有する火山岩を対象として研究を実施した。本邦の2か所の火山において試料採取を行い、その噴出物からモナズ石を分離抽出することに成功した。並行してモナズ石に対する発展的な分析手法開発を実施し、これらの試料に対してウラン系列に属する微量放射性同位体の分析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は本研究課題を遂行する上で基礎となる局所微量放射性同位体分析の技術開発が進展し、ジルコンに対するウラン-トリウム放射非平衡年代測定法開発に関して研究成果が国際誌に掲載された。さらに本手法の改良により全岩試料やモナズ石の放射非平衡年代分析が可能となった。この微量同位体分析法開発の進展により次年度以降に発展的な年代学研究を行うことが可能となった。 年代測定法に必要な微量同位体分析法開発の観点では研究が進展し、論文化や学会発表を通じて積極的に研究成果を公表することができた。ところが地質試料への適用に関してはやや遅れている。本研究課題の当初の目的では深成岩体の年代学研究に取り組みマグマ過程を解明することを目指したが、第一に年代学研究に活用するウラン系列放射非平衡系について詳細な理解が必要である。そこでより現代に近い噴出年代を有する火山岩試料に研究対象を移した。実際に本邦の2か所の火山噴出物からモナズ石を分離抽出することに成功し、現在はそのウラン系列微量放射性同位体の分析を実施している。それらの分析結果の公表は次年度となる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は以下の計画を実施する。 (1)高速高空間分解能微量元素イメージング法の開発 鉱物試料に対する年代分析を実施する上でその内部組織観察は重要である。1粒子内の中心部と周縁部ではマグマ過程の異なる段階を反映している可能性があり、年代値の考察に対して重要な参考情報となるため慎重に観察する必要がある。研究計画当初は電子顕微鏡を用いた鉱物粒子内部の組織観察を実施する予定であった。電子顕微鏡による内部組織観察では特にカソードルミネッセンス法(CL法)が汎用的に用いられるが、CL法では微量元素組成を取得することはできない。研究計画を遂行する中で、鉱物粒子の形成過程に関して議論するには組織観察的に異なる部位を区別するだけでは不十分であり、微量元素濃度という地球化学的な情報が不可欠であると判断した。そこでレーザーアブレーションICP質量分析法による元素イメージング分析法を改良して、空間分解能、分析感度、分析スループットを向上する。現時点での研究成果について既に6月および7月の学会で発表を予定しており、関連分野の研究者と議論を深める。 (2)モナズ石放射非平衡年代系を活用したマグマ過程解明 微量同位体分析法およびイメージング分析法の開発が完了する本年度の後半では、実際の地質試料への適用を進めてマグマ過程の時間発展解明を目指す。これまで研究を実施してきたモナズ石の年代測定だけではなく、(1)で開発したイメージング分析法をメルト包有物を有するモナズ石に適用し、鉱物結晶化時のマグマに関する地球化学的な情報の取得を試みる。
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Report
(1 results)
Research Products
(10 results)