Project/Area Number |
22KJ0857
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Project/Area Number (Other) |
22J12356 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 01080:Sociology of science, history of science and technology-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横井 謙斗 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2022: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 技術の社会史 / 軍民両用 / 真空管 / 陸海軍 / 帝国主義 / 国家総動員体制 |
Outline of Research at the Start |
20世紀初頭に発明された真空管は、通信技術における検波・増幅・発振といった機能を容易に担うことのできる製品として、1920年代以降に急速に普及していく。本研究は、戦前の日本において、真空管技術が軍、逓信省、民間企業、大学でどのようにして導入・開発され、デュアルユース(軍民両用)として用いられていたのかを解明することを目的とする。そのために、各セクターにおける技術の導入や規格の標準化のプロセス、総動員体制や帝国主義の展開のもとで技術が変容する様子に注目し、複数セクターのもとで軍民転用が生じる条件や、技術の軍民一体化に際して解決されるべき規格やコストの問題を明らかにすることを試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、①1910年代から1920年代にかけての逓信省、民間企業、軍セクターにおける真空管技術の導入過程の分析、②1920年代に学術研究会議電波研究委員会で行われた真空管口金の標準化についての分析、③1930年代以降の海軍の通信インフラと日本帝国主義との関係という3つの研究を進め、以下の成果を得た。 まず①については、東京大学工2号館図書室所蔵の実習報告・卒業論文に基づき、1916年以降の電気試験所では真空管の製作をどのように行っていたのか、その際に直面した問題は何であったか、電気試験所と大学、民間企業はどのような関係にあったかといった点について分析を行い、得られた成果を論文にまとめた上『化学史研究』に投稿した。 次に②については、『無線用受波真空管口金規格』や『官報』、同時代のラジオ雑誌などの史料に依拠し、学術研究会議電波研究委員会(1922年に設置)において取り上げられた「受信管口金の標準化」の過程、規格の普及状況を調査した。その結果、本規格はラジオ放送開始(1925年)に際しての「型式証明」制度を前提としたものであったこと、A型口金は東京電気の「サイモトロン」に採用されたこと、同製品は海軍用無線機にも採用されていたことなどを明らかにした。 最後に③については、1930年代半ば以降に利用された海軍の航空無線機にどういった仕様が求められたのかを明らかにし,これらの軍用無線機が作戦上の想像力にどのような可能性を与えたのかを分析した。それらが南方作戦における「空間的想像力」(制空権の確保など)および「時間的想像力」(短期決戦など)の形成に寄与した可能性があることを示唆した。
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