Project/Area Number |
22KJ0870
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Project/Area Number (Other) |
22J12471 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 13030:Magnetism, superconductivity and strongly correlated systems-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川原 光滋 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | マルチフェロイクス / ドメイン壁 / 接触角 / ドメインダイナミクス / 自由エネルギー |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、マルチフェロイクスという特殊な磁性体において、その内部構造のダイナミクスを解明することである。マルチフェロイクスの特殊性は、磁気だけでなく電気分極や結晶構造の歪みといった複数の変数が相互作用する点にある。これにより、磁場による電気分極の制御、電場による磁化の制御といった新たな物性制御が可能となり、メモリデバイス等への応用が期待される。本研究では、この制御の微視的プロセスに着目し、物質内部の構造変化のダイナミクスを明らかにする。それにより、先述の相互作用がダイナミクスにどう影響するかという理学的興味と、不純物の影響というデバイス応用上重要な問題への回答を理論的に与える。
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Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、典型的なマルチフェロイクス物質GdFeO3におけるドメイン壁構造、およびそこに現れる複数秩序間の相関の効果を明らかにすることを目的として研究を行った。 前年度に空間1次元でのドメイン壁ダイナミクスについての研究が一段落したため、今年度は空間2次元におけるドメイン壁の空間構造を研究した。空間2次元系においてはドメイン壁は曲率を持ち、また他のドメイン壁と交差するなど多様な構造を示すことから、マルチフェロイクス特有の空間構造やそれに伴う新奇なダイナミクスを発見することを狙った。 具体的には、空間2次元なGdFeO3では、異なる種類のドメイン壁が巨視的に見て一点で接続する、ドメイン壁同士の接触点という構造があることに着目し、この接触点に接続するドメイン壁同士の(巨視的に見た際の)接触角や、接触点を微視的に見た際の内部構造(すなわち分岐点周辺での秩序変数の空間分布)を理論的に研究した。研究手法は系の秩序変数(磁性スピン2種と電気分極)を用いた自由エネルギー模型による数値シミュレーションであり、東京大学物性研究所のスーパーコンピューターを用いて計算した。 その結果、1. ドメイン壁の接触角は古典的なヤング則に従うこと、2. 分岐点は系に含まれるスピン変数の回転を反映し複合的なトポロジカルチャージを持つこと、3. その内部構造は秩序間の相互作用により特定のドメイン壁方向に歪んだ形状をしていることなどを明らかにした。以上の成果は2023年秋の日本物理学会で発表した。
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