Quantum Simulation of Non-Equilibrium Processes in Quantum Field Theories
Project/Area Number |
22KJ0957
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Project/Area Number (Other) |
22J14732 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
ピーダーセン 珠杏ウィリアム 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 場の量子論 / 量子計算 |
Outline of Research at the Start |
申請者は理論的・数値的の2つのアプローチを並行して本研究課題に取り組む。理論的アプローチとして、まず場の量子論における非平衡過程の量子シミュレーションを行う一般的なアルゴリズムを提案することを目指す。数値的なアプローチでは、自身のアルゴリズムに基づいた量子計算によって粘性係数を求めることを目指す。最終的な目標である3+1次元SU(3)ゲージ理論の粘性係数の量子計算は複雑で、現在利用可能な量子コンピューターでは計算不可能だと予想されるため、この系については理論的なアルゴリズムの提案まで行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
現代の素粒子物理学では、クオークグルーオンプラズマ(QGP)状態の生成など、様々な非平衡過程に対する理論的研究が行われている。QGPは初期宇宙がこの状態をとっていたと考えられることから強く興味が持たれている。しかし、このような非平衡過程は、従来の計算手法では符号問題と呼ばれる問題が障害となって計算を行えない問題がある。一方、近年注目されている量子コンピュータを利用した計算ではこの問題が自然に回避される。この背景のもと、本研究は量子コンピュータを用いて汎用的な非平衡過程計算アルゴリズムを開発することを目的とする。期間内に上述のQGPの生成過程の計算を簡単な系で行うことを計画している。 2022年度は1+1次元U(1)ゲージ理論であるシュウィンガー模型を扱い、研究課題の遂行に必要な手順である「量子回路上の熱的状態準備」の実装を行なった。具体的には、「量子虚時間発展法(Quantum Imaginary Time Evolution)」と呼ばれるアルゴリズムを利用し、熱的状態をよく近似する純粋状態である「熱的量子純粋状態(Thermal Pure Quantum state)」を量子回路上で表現した。さらにこれに基づき、有限密度・有限温度シュウィンガー模型でカイラル相転移の秩序変数であるカイラル凝縮等の量子計算を行なった。ただし、量子計算を行う際には古典的な量子シミュレータを用いた。現在はこの手法をより一般的な系にも適用すべく、アルゴリズムの改善と効率化に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は1+1次元U(1)ゲージ理論であるシュウィンガー模型を扱い、研究課題の遂行に必要な手順である「量子回路上の熱的状態準備」の実装を行なった。さらにこれに基づき、有限密度・有限温度シュウィンガー模型でカイラル相転移の秩序変数であるカイラル凝縮等の量子計算を行なった。ただし、量子計算を行う際には古典的な量子シミュレータを用いた。熱的状態準備の実装は当初の研究計画でも重要な手順として挙げている。この手法は系によらずに用いることができると考えており、計算を計画している他の系にもスムーズに移れると考えられる。このこことから、量子回路上の熱的状態準備を終えた現状の進捗状況はおおむね順調だと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は実際の量子計算機を用いて計算する計画であったが、これを古典計算機のみをもちいる計画に変更する。これは、本研究で用いている量子アルゴリズムでは量子ノイズの影響を多く受けることから、現行の量子計算機を用いた計算では十分正確な結果が得られなないと判断したためである。この点以外は当初の計画通りに研究を進める。すなわち、より複雑なゲージ理論についても同様の手法を適用し、カイラル相転移の秩序変数であるカイラル凝縮等、局所的な物理量の量子計算を行う。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)