AD continuumにおけるsAPPβ依存的タウ分泌機構の意義の解明
Project/Area Number |
22KJ0968
|
Project/Area Number (Other) |
22J14955 (2022)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 47030:Pharmaceutical hygiene and biochemistry-related
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 玄謙 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | アルツハイマー病 / タウ分泌 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、これまでに申請者が見出したsAPPβ依存的なタウ分泌変動が、アルツハイマー病(AD)の発症に関与しているのかを明らかにするために、以下の3点を検討する。研究1. sAPPβ 依存的タウ分泌の分子機構解明 研究2. in vivo におけるsAPPβ依存的タウ分泌の検証 研究3. sAPPβ依存的タウ分泌がタウ蓄積病理形成に及ぼす影響の解明
|
Outline of Annual Research Achievements |
申請者が発見したAPP依存的なタウ分泌現象について、その特異性を確かめる実験を行った。まず、タウを恒常発現させたマウス神経芽細胞であるNeuro-2a(N2a)細胞に対して、APP以外の他の膜タンパク質を過剰発現させたが、タウ分泌の亢進が見られないことを見出した。また、上記の細胞において、タウ以外の細胞質タンパク質の分泌量がAPPに依存しないことを見出した。これらの結果から、APP依存的なタウ分泌機構はAPPとタウに特異的な現象であることがわかった。 また、これと並行して、リン酸化タウに特異的な分泌機構を探るべくスクリーニングを行うことにした。そこで、AD患者脳のRNA-seqデータから、病理の初期段階から発現変動する因子群を抜き出して候補分子とした。スクリーニングの手法としては、前述のタウ恒常発現N2a細胞に対して上記の因子を過剰発現させ、培養上清中のトータルのタウ量に対する、リン酸化タウ量の割合を定量する方法を用いた。その結果、T181とT205でリン酸化されたタウの分泌を制御する因子を、それぞれ同定することに成功した。また、得られた候補分子について、ドメイン欠損体を作成し、リン酸化タウ分泌に関与するドメインを見出しつつある。今後はこれらの分子がどの様にしてリン酸化タウ特異的に分泌するのか、さらにこの現象がin vivoにおいても見られるのかを脳間質液・脳脊髄液中のリン酸化タウを定量することで明らかにする。 さらに、凝集したタウの分泌に対しても上記の因子たちが関与するのかを検討するために、タウ凝集体恒常保持N2a細胞の作出が進行している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今まで発見していたAPP依存的なタウ分泌現象について、APP、タウそれぞれに特異的な現象であることを見出した。これにより、アルツハイマー病の病理においてこの現象がより疾患特異的なものであり、意義をもつ可能性を高めた。これらの内容は今年度、学会発表・論文投稿を行い、成果として還元されている。 さらに、これまで見出していたトータルタウの分泌制御因子にとどまらず、リン酸化タウを特異的に分泌制御する因子についても探索を試みた。その結果、異なるリン酸化部位に対して異なる制御因子が存在することを明らかにし、そのメカニズムについても明らかになりつつある。タウ分泌についての報告はこれまでに存在していたが、リン酸化タウに特異的な分泌機構、とりわけ、リン酸化部位に特異的な分泌機構を探索した報告はこれまでになく、新規性の高い研究である。 また、来年度行う実験のツール作りも順調に進行している。 よって、本研究の進捗は当初の計画通り、進行していると考えられるだろう。
|
Strategy for Future Research Activity |
Aβ蓄積モデルマウスを用いて、まずAβ蓄積に応じたISF・CSF中のタウおよびsAPPβ量の増加を確かめる。その上で、sAPPβ特異的抗体を用いて脳内sAPPβをdepletionし、ISF・CSF中タウ量の変化を検証する。また、タウ蓄積モデルマウスの脳に対してもsAPPβをインジェクションし、タウ蓄積病理が加速するかを生化学的・免疫組織学的手法で検証する。反対に、β-secretase阻害剤によって薬理学的にsAPPβ量を減少させたときに、タウ蓄積病理が緩和されるかも検証する。 並行して、リン酸化タウの分泌を制御する因子についても解析を進める。まずは、これらの分子がどの様にしてリン酸化タウ特異的に分泌するのか、in vitroの実験において生化学・免疫細胞化学的な手法を用いて明らかにする。そして、作成が進められている、タウ凝集体恒常保持N2a細胞を用いて、これらの因子がタウ凝集体の分泌に対しても寄与していることを明らかにする。さらにこの現象がin vivoにおいても見られるのかを、解析する。このために、まずは同定した分子がAβ蓄積モデルマウスにおいてタンパク量が増加していることを確認する。次に、これらの分子に対して遺伝学的な介入をおこなった上で、脳間質液・脳脊髄液中のリン酸化タウを定量し、in vivoにおいても同定した因子がタウ分泌に関与することを確認する。さらに、タウ蓄積モデルマウスにおいても遺伝学的な介入を行うことで、タウ蓄積病理に対して同定した分子が関与するのかどうかを検討する。
|
Report
(1 results)
Research Products
(5 results)