Project/Area Number |
22KJ1011
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Project/Area Number (Other) |
22J20436 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森山 洸 東京大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 社会運動 / 貧困 / 反グローバリズム運動 / 反緊縮運動 / 福祉国家 / 社会保障 / 新自由主義 / ネオリベラリズム / 福祉政治 / メディア |
Outline of Research at the Start |
本研究は、2000年代後半に起きた年越し派遣村に代表される反貧困運動を対象として、社会運動がいかにして貧困という社会問題を定義・枠付けし、またどのようにして様々な分野の社会運動組織と連携することによって、マスコミや世論だけでなく政策決定にまで影響を与えることができたのかについて、社会学的に明らかにすることを目的としている。 さらに、リーマンショック後においては、反緊縮運動に代表される反新自由主義的な社会運動や、その運動に親和的な政党の台頭に対して、世界的な関心が集まっている。そうした流れの一部として国内の反貧困運動の隆盛と停滞の軌道を分析することで、日本特有の運動と政治の関係について考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2000年代後半に起きた年越し派遣村に代表される反貧困運動を対象として、社会運動がいかにして貧困という社会問題を定義・枠付けし、またどのようにして様々な分野の社会運動組織と連携することによって、マスコミや世論だけでなく政策決定にまで影響を与えることができたのかについて、社会学的に明らかにすることを目的としている。 以上の研究内容について本年度は、昨年度で得た海外での学会参加の経験や、ラテンアメリカの社会運動を対象とする研究者との交流を経て、反グローバリゼーション運動や反緊縮運動などの海外の反新自由主義運動との比較のうちに自らの研究を位置づけ、また報告や執筆をおこなってきた。インタビュー調査と国立国会図書館での資料収集を継続して進め、分析し、過去の出来事を記述することで、海外の運動との違いから国内の運動の特徴を明らかにしてきた。 そうした成果の第一として、第71回関東社会学会大会にて「社会運動研究における反新自由主義という視座 ―日本の反貧困運動を事例として―」の報告をおこなった。国内においては、新自由主義に抵抗する運動という理論的な位置づけをする研究があまりなく、それに対して反貧困運動をそうした運動の潮流に位置づけることで、海外の運動に比較して貧困という言葉を用いることの独自性などを見出した。 そうした国内研究者とのディスカッションを踏まえたうえで、成果の第二として、東京大学のUTokyo LAINAC 2024 Spring Workshopにて、チリの研究者にむけて英語で国内の運動の状況を報告した。このことは、リーマンショック後の運動として重要な事例でありながら世界的には知られていない反貧困運動の事例を世界の研究の俎上に載せる貴重な場となった。これらの研究の成果は、第三に査読中の論文で公表される予定である。そしてこれらの成果をもとに、さらなる研究の進展が見込まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象とする社会運動に関わったメンバーの総数を考慮するならば、インタビュー数は依然として不足しているという点は否めないが、運動に関わった人物への聞き取りは継続しておこなっており、現段階ではおおむね十分であるといえよう。また国立国会図書館などを利用して過去の資料を多く収集、分析したことで、インタビューに向けてさらに入念な準備と実施ができている。加えて、海外の反グローバリゼーション運動や反緊縮運動との比較によって分析と記述を可能にする本研究にとって、チリの研究者との交流の機会は非常に大きく、海外の学会での報告や執筆が視野に入る重要な進展であったといえる。また成果の一部を論文として投稿したことで、次なる論文の準備が開始されている。来年度に向けて今までとは異なる分野の学会での報告も検討しており、より多くの知見の獲得と研究者との交流が見込まれるであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として第一に、インタビューの数をこれまで以上に増やし、最終的には30人以上を目指したい。理論的な運動の位置づけはこれまでの研究によって十分把握しているため、データの収集を本格化し、実証に力をいれていく。同様に国立国会図書館での資料収集も継続しておこない、過去の関係者の発言や考えなどを網羅的に検討し、重層的なデータによって総合的な社会運動の分析と考察を目指したい。第二に、そうした分析の結果をもとに学会報告をおこなうとともに、二本目の論文の刊行を目指す。とくに年越し派遣村に関する分析を進め、労働社会学会などの労働分野での議論に貢献していく予定である。また年度末に向けては、貧困報道などのメディア研究と絡めて、海外での報告を目指したい。計画的にデータの収集と執筆を進め、確実に研究を進めていく。
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