Project/Area Number |
22KJ1108
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Project/Area Number (Other) |
22J22217 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 39060:Conservation of biological resources-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高田 健司 東京大学, 農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 宝石サンゴ / 八放サンゴ / 28Sメタバーコーディング / ddPCR / 環境DNA / デジタPCR / メタゲノム解析 / 分布推定 / 生息環境推定 / 海洋保護区 |
Outline of Research at the Start |
絶滅のリスクを危惧されながら、基礎的な生態や有効な保全策が不明である宝石サンゴを対象に、生息域・生物量を環境DNAから検出する方法を確立し、分布を把握した上で、生息環境について多角的な環境データ(生物・化学・物理)から生物統計モデルを作成し、保全上重要となる海域を検討する。また、産卵・幼生分散などの宝石サンゴの集団維持に関わる初期生態メカニズムを集団ゲノム解析および環境DNA分析によって推定し、持続可能な資源管理の空間スケールを明らかにする。南西諸島から本州、小笠原までの広域解析を行うことで、陸棚生態系における海洋保護区増設に役立つ知見の集積を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
宝石サンゴの生息域・生物量を環境DNAから検出する手法開発については、昨年度に飼育水槽から宝石サンゴ由来の環境DNAを検出することに成功したプライマーとプローブを用いたデジタルPCRによって、これまでにサンプリングを実施した計36地点の野外海水でも検出可能かどうか試みた。しかし、上記の手法では宝石サンゴの有無や生物量に応じたeDNA量の違いに若干の傾向はみられたものの、有意に差を検出するには至らず、より感度の高い検出方法を試す必要があることが示唆された。メタバーコーディング解析を用いた宝石サンゴの生息環境推定では、今年度は八放サンゴに注目しMc Cartin et al.(2023)で開発された八放サンゴ特異的な28Sプライマーを用いたところ、36地点で合計255ASVを検出することに成功した。今後、地点間の八放サンゴの出現の違いとその他環境データ(溶存酸素濃度、水温、水深等)と照らし合わせることで、宝石サンゴを含む八放サンゴの生息環境を推定する予定である。 また、海水サンプリングのための乗船調査時にこれまでの宝石サンゴとは形態的に異なるサンゴ科sp.1を発見した。ゲノムワイドな領域による系統解析を行ったところ、従来の種とは異なるクレードを形成していることに加え、同種と思われる群体を宝石サンゴの漁業者からも購入でき、既存種として隠蔽的に漁獲されたている可能性が高い。今後、詳細な形態による種記載を行なっていく予定であるが、遺伝子を用いたデータは、取りまとめ、2024年3月に生態学会にて発表を行った他、その後国際学術誌へ投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
デジタルPCRを用いた宝石サンゴの環境DNAの野外海水からの定量は、飼育水槽下で成功した手法では有意な検出ができなかったため、2年次までに実現を予定していた、野外海水からの宝石サンゴの環境DNAの検出・定量に向けた研究に関してはやや遅れている。また、現在投稿を準備している宝石サンゴの隠蔽系統(サンゴ科sp.1)を発見した論文については、一度サンプル数の少なさを理由にリジェクトを受けた。深海生物のため1種あたりのサンプル数を増やすのが難しい中、3週間を予定していた本年度の宝石サンゴ乗船調査が都合により3日間になってしまったこともあり、論文に加えることができるサンプル収集が滞っている。サンゴ科のサンプルを増やすために、ハワイのビショップ博物館の共同研究者に新たなサンプルを輸送してもらう予定であるが、CITES手続きに時間がかかっており、これらのサンプルが手元に届くまでのも、しばらく時間がかかる見込みである。 メタバーコーディング解析に関しては、36地点で合計255ASVを検出することに成功したものの、遺伝子配列の登録数が少ない八放サンゴでは、この255ASVがどの八放サンゴ由来なのか判別することが難しい。そのため今後八放サンゴ28Sシーケンスによるデータベースの充実が必要である。 以上のことから、進捗状況としては計画段階よりもやや遅れ
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Strategy for Future Research Activity |
分布・生物量推定のためのデジタルPCRによる宝石サンゴのeDNA検出については、検出感度不足の問題が大きいため、一度に複数領域の検出を行う、マルチプレックスデジタルPCRを試みる。また、抽出したDNAにPCR阻害酵素が含まれる可能性を考慮し、Power Clean Proによる阻害剤除去工程を踏まえる。宝石サンゴのサンプル不足に関しては、最終年度の宝石サンゴ乗船調査でさらなるサンプルを入手するとともに、ビショップ博物館のサンプルについては、現在の所属機関のCITES機関登録への申請も検討しつつ、手続きを進める。データが不足している28Sデータベースに関しては、美ら島財団野中博士の協力の下、約400サンプルの八放サンゴのDNA抽出用サンプルを入手した。これらを属レベルまで形態的に分類するとともに、28Sシーケンスを行い、八放サンゴのeDNAデータベースを充実させる。
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