Project/Area Number |
22KJ1175
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Project/Area Number (Other) |
22J23476 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 15020:Experimental studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永瀬 慎太郎 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 異種原子同時トラップ / 冷却原子磁力計 / 光格子トラップ / 精密分光 / 原子核(実験) / 量子エレクトロニクス / 電気双極子能率 / レーザー |
Outline of Research at the Start |
本研究の概要は、物質創生の起源を解明するために、物質の構成要素であるクォーク・レプトンの電気双極子能率(EDM)や、CP対称性を破る相互作用の効果を観測することである。そのために、フランシウム(Fr)異種同位体を同時に磁気光学トラップし、光格子トラップへ導入して、外部電場とEDMの相互作用により誘起される超微細構造準位のエネルギーシフトを、ラムゼー分光法によって精密に測定する。この量子補正効果の超精密測定を通して、高エネルギー実験では到達困難な重い質量領域の探索を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
当該年度において、安定アルカリ原子であるルビジウム(Rb)およびセシウム(Cs)原子を同時に磁気光学トラップ(MOT)中に捕獲し、光格子トラップへ導入する実験系の開発を完了した。円錐ミラーを用いたMOTに成功し、異種原子を同時トラップするための光学系をより簡素に構築することができた。円錐ミラー中にMOTされた原子を、プッシュ光によって極高真空領域へ押し出し、極高真空領域で再度MOTした原子を光格子トラップへ移行することに成功した。また、パーマロイ製磁気シールドを導入し、環境磁場を約1/100に抑制した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の計画は、安定な異種アルカリ原子であるルビジウム(Rb)およびセシウム(Cs)原子の共存トラップの技術基盤確立であった。当初の予定通り、円錐ミラーを用いた磁気光学トラップ(MOT)を真空装置内に導入し、RbおよびCsの円錐ミラーMOTに成功し、MOT中に捕獲された原子数や原子の温度測定を行った。また、ドップラー冷却限界以下に原子を冷却し、大強度の非共鳴レーザー光で形成した双極子トラップ中に原子を移送することに成功した。また、この円錐ミラーを冷却原子源として用い、降段の極高真空領域に冷却原子を供給することで、真空度1E-9 Paの領域に10000000個のRb原子を捕獲した。以上のように、安定なRb、Cs原子を用いて技術開発を進め、異種原子の共存トラップに必要な基盤が構築され、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
安定なRb、Cs原子を用いて、Fr-EDM測定時の主要な統計誤差要因である磁場安定度、および電場を印加することで生じるエネルギーシフトを恒常的に評価することは、EDM測定精度向上に向けて極めて重要である。今後は、パーマロイ性のシリンダー型磁気シールドを用いて実験装置を囲い、さらに磁気シールド内に設置したヘルムホルツコイルを用いて磁場安定化を図る。現在、2層の磁気シールドを導入してそのシールド効果を評価し、環境磁場を1/100に抑制することが分かった。また電場の印加について、電気伝導性を持つ酸化インジウムスズ(ITO)をガラス表面に蒸着した透明電極を準備し、真空内に捕獲された冷却原子に対して50 kV/cm程度の高電圧を印加する設備が整った。 今後は、異種アルカリ原子を用いた磁場安定度評価と磁気シールドを用いた磁場安定化を両輪として進めると共に、原子と静電場の相互作用によって生じる、原子の基底状態の3次のシュタルク効果の測定を目指す。磁場や電場と原子との相互作用によって生じるエネルギーシフトの精密測定によって、EDM測定時の誤差要因を評価するとともに、高次のシュタルクシフトの実験値を原子核計算によって得られた結果と比較することで、原子核計算の精度向上に貢献する。
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