Project/Area Number |
22KJ1246
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Project/Area Number (Other) |
22J21990 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 42020:Veterinary medical science-related
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
佐藤 よもぎ 東京農工大学, 大学院農学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 犬原発性肺がん / 肺オルガノイド / オルガノイド培養 / トラメチニブ / 呼吸器疾患モデル |
Outline of Research at the Start |
犬の原発性肺腫瘍は発生率の多い病気ではないものの、動物病院において一般的に遭遇する腫瘍である。病態初期での臨床症状に乏しいこともあり、早期発見が困難なことが多く、発見時にはすでにリンパ節転移などが認められることも少なくない。さらに有効な内科療法が確立されていないことも大きな課題となっている。 そこで本研究は犬生体由来の肺腫瘍細胞や正常肺細胞からオルガノイド培養法を確立することで、①犬の肺腫瘍の病態・分子学的特徴などを解明し、②肺腫瘍オルガノイドへの薬剤処置によって生体に対する治療薬の効果予測を行い、③正常肺組織を用いることで呼吸器感染症や腫瘍化モデルとして応用することを目的としている。
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Outline of Annual Research Achievements |
2020年から2023年において計12頭の原発性肺がん罹患犬からがん組織と隣接する正常肺組織を採材した。前回までに6検体の肺がんオルガノイドと4検体の正常肺オルガノイドを用いて、肺がんオルガノイドに対する薬効試験や両オルガノイド間の形態や増殖率、トランスクリプトーム解析を用いた比較解析を行った。トランスクリプトーム解析の結果から細胞増殖シグナル経路の一つであるMEK経路に関連したmRNA発現の濃縮が肺がんオルガノイドにおいて認められたことを受け、MEK阻害薬の一つであるトラメチニブに注目して追加実験を実施してきた。肺がんオルガノイドに対して、in vitroおよび免疫不全マウスを用いたin vivoにおいてトラメチニブを処置し、その抗腫瘍効果を細胞生存率、qRT-PCR、ウェスタンブロッティング、免疫組織化学染色を用いて評価した。 In vitroにおいてトラメチニブは、各系統の肺がんオルガノイドの細胞増殖率を濃度依存的に減少させ、MEK経路下流に位置するERKのリン酸化やc-Myc発現を抑制した。 In vivoでは免疫不全マウスの背部皮下に移植した肺がんオルガノイドに対するトラメチニブの影響を評価した。トラメチニブ処置群のマウスではコントロール群と比較して、移植腫瘍増殖が顕著に低下し、組織学的に移植片の変性・壊死が見られ、細胞増殖マーカーの一つであるKi-67陽性細胞率の低下も認められた。 今回の結果から、これまで犬の原発性肺がんに対する治療薬として注目されなかったトラメチニブが新たに利用可能であることが示された。現在さらに症例数を増加し、追加検証を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現状、正常肺オルガノイドを用いた呼吸器ウイルス感染実験や特定の遺伝子の過剰発現を誘導したトランスフェクション実験にも取り組んでおり、概ね申請時の予定を順調に遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
肺がんオルガノイドと正常肺オルガノイドに関する比較解析は、引き続き新規検体が確保でき次第、随時症例数を増やしていく予定である。またプロテオーム解析なども導入し、トランスクリプトーム解析と合わせた評価も検討中である。肺がんに特異的なパスウェイ解析がさらに進むことで、犬原発性肺がん治療に貢献できると考えている。 現在、正常肺オルガノイドを用いた疾患モデルや発がんモデルの開発にも着手している。呼吸器疾患を引き起こすウイルス感染実験を成功させることで種々の呼吸器疾患の病態やがんと呼吸器疾患との関連性を評価したいと考えている。またトランスフェクション技術を用いることで肺のがん化メカニズムの解明に貢献したいと考えている。
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