Project/Area Number |
22KJ1249
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Project/Area Number (Other) |
22J22163 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 40020:Wood science-related
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
飯塚 瑠翔 東京農工大学, 大学院連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 真菌類 / 糸状菌 / 硫黄代謝 / 硫化カルボニル(COS) / 木材腐朽菌 / 硫化カルボニル / 植物細胞壁分解 |
Outline of Research at the Start |
継続課題のため、記入しない。
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Outline of Annual Research Achievements |
木材腐朽菌は木材の生物劣化の最も主要な原因生物の一つであるため、その生理学的知見を蓄積することは、我が国の戸建住宅の9割以上を占める木造建築物の腐朽被害への効果的な対策を考えるために重要である。木材腐朽菌は、酵素的および非酵素的な多様な反応システムにより、木材細胞壁を分解する。これまで真菌類の分解酵素の制御メカニズム研究は、炭素や窒素など豊富に存在する栄養源の代謝を中心に議論されてきたが、微量元素である硫黄や植物細胞壁分解との関連性についてはあまり注目されていない。近年、我々は大気中に普遍的に存在する気体状硫黄化合物である硫化カルボニル(COS)が真菌類によって取り込まれ、硫黄源として利用されている可能性を見出した(Iizuka, 2024)。このため、硫黄が乏しい木材を基質とする真菌において、COSを介した硫黄の獲得が木材分解プロセスに重要であるのではないかと考えた。本研究の目的は、木材腐朽菌が気体状のCOSを出発物質として利用する硫黄獲得経路が木材腐朽プロセスにおいてどのような役割を果たすのかを解明することである。 本年度は、COSに暴露された真菌類の時間経過におけるトランスクリプトーム解析を実施した。また、COS代謝のキー酵素であるCOS加水分解酵素(COSase)を大腸菌を用いた異株宿主発現系で組換え酵素として生産し、精製後、機能解析を行った。さらに、昨年度に作成したCOSase遺伝子の欠損株についての生理学的特性も評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、時間経過におけるCOSに暴露された真菌類のトランスクリプトーム解析を行い、また、糸状菌Trichoderma harzianum およびGloeophyllum trabeumが有する COS加水分解酵素(COSase)を大腸菌を用いた異株宿主発現系で組換え酵素として生産し、精製後、機能解析を行った。さらに、昨年度に作成したT. harzianum のCOSase遺伝子の欠損株についての生理学的特性も評価も行った。 トランスクリプトーム解析では、T. harzianumを対象に、気体状COSの暴露後24時間までの時間経過ごとに回収した菌体から抽出したmRNAを解析に供し、時間経過によって硫黄代謝関連の遺伝子に異なる発現パターンが現れていることを確認した。また、T. harzianum およびG. trabeumが有する COSaseの組換え酵素の発現と精製に成功し、基質特異性調査やCOS加水分解活性のキネティクス解析などの機能解析を行った(論文執筆中)。さらに、COSase遺伝子の欠損株は、COS分解活性に影響が生じることを明らかにした。 本研究のきっかけとなる、真菌類がCOSを取り込み、分解するだけでなく、硫黄源として利用することできることを示した論文が公開され、また、先に述べたように、COS分解に関連する遺伝子の特定や、組換え酵素として発現したCOSaseに関する結果についての論文を執筆中であることから、概ね順調に本課題を遂行していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、真菌類におけるCOS代謝経路の進化、およびCOS代謝と植物細胞壁分解酵素との関わりを調査することを目的とする。そのために、COSase遺伝子をはじめとするCOS分解に関わる遺伝子を対象にした比較ゲノム解析を行う。本解析は、米国クラーク大学のDavid Hibbett教授のもとで解析を行う予定である。また、COS代謝と植物細胞壁分解酵素との関わりを明らかにするためにCOSase遺伝子欠損株のさらなる生理学的調査を行う。得られた成果は、令和5年度の結果と合わせて論文としてまとめ、投稿する予定であり、現在執筆中のCOSaseに関する論文を投稿も行う。
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