Project/Area Number |
22KJ1253
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Project/Area Number (Other) |
21J00498 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 02040:European literature-related
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music (2022-2023) Hosei University (2021) |
Principal Investigator |
山口 遥子 東京藝術大学, 美術学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 人形劇 / オブジェクトシアター / 演劇史 / 芸術学 / ドイツ / 日本 / 美術史 |
Outline of Research at the Start |
一年目は、ミュンヘンで二ヶ月間の在外研究を行い、20世紀初頭のドイツの人形劇ルネサンスを代表する劇団「ミュンヘン芸術家人形劇場」にフォーカスして、他ジャンルの芸術家の人形劇への関与と関心の実態を、人形や書簡などさまざまな一次資料を元に調査した。二年目には、1920年代に生じた日本の西洋風人形劇の潮流に注目し、1900年代から1920年代まで30 年間ほどの人形劇に関わる演劇・美術・見世物関連資料を通じて、当時の西洋人形劇受容の詳細を明らかにした。最終年度となる本年はこれに引き続き、ドイツの人形劇ルネサンスの影響下における日本の「人形劇」の成立と、その表現方法や美学的価値付けの変遷を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年の現代人形劇の現状を把握していくにつれ、1920年代から現在まで、およそ100年間にわたる日本の現代人形劇の主流をなしてきた人型・動物型の人形劇は世界的にみれば少数派であり、むしろレディメイドのオブジェクトを用いる「オブジェクト・シアター」が大勢を占めつつあることが分かった。またオブジェクト・シアターは、従来人形劇に見られるような操る/操られるの関係ではなく、物と人の新しい対等な関係を呈示しているという点で、ブルーノ・ラトゥールやジェーン・ベネットなど、現代を代表する思想的潮流の一つであるニューマテリアリズムとも響き合っていると考えられる。そこで今年度は、現代オブジェクト・シアターの諸実践において、人と物の新たな関係性の表現がいかに達成されているかという点を中心に研究を進めてきた。オブジェクト・シアターは最近始まったわけではなく、従来の人形劇に対するアンチテーゼとして1980年代に広まった様式である。誕生から50年を経てオブジェクト・シアターも変化している。主体としての人間が客体としての物を「操る」、あるいは「魂を与える(アニメートする)」という非対称的な関係を見直そうという動きとして捉えられる。無生物を人間の力で操る・動かすのではなく、むしろ物それ自身の動きに任せる、あるいは人間はその物の内在的な動きや性質を引き出すような手助けをするに留める。こうした物と人とのより対等な関係性の探究が、オブジェクト・シアターの新たな主題となりつつあると思われる。この点についてより考察を深めるために、ニューマテリアリズムと芸術実践あるいは芸術教育の交叉を主題とした論文集を現在準備中である。
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