動的な環状分子が拓く新しい架橋高分子とその機能創出
Project/Area Number |
22KJ1268
|
Project/Area Number (Other) |
21J20689 (2021-2022)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 35020:Polymer materials-related
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
横地 浩義 東京工業大学, 物質理工学院, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
|
Keywords | 動的共有結合 / 環状高分子 / 架橋高分子 / ロタキサン / 動的共有結合化学 / 高分子反応 / 特殊構造ポリマー / エラストマー |
Outline of Research at the Start |
これまで様々な分子量の環状ポリエチレングリコールの合成を達成している。一方、異なる化学構造へは未展開であった。そこで、まだ広く普及していないバイオベースポリマー(PIC)に着目した。動的な環状PICを合成できれば、その動的特性を活かした高分子の末端構造制御や異種の環状高分子と連結することが可能となりPICを機能化することができる。まず、これまでと同様に希釈条件下で加熱することで環状トポロジーへと誘導し、NMRやMALSを利用し環状PICの合成を確認した。次に、得られた環状PICと環状PEGを濃厚条件下で加熱することで、PICとPEGを連結した大環状高分子の合成および末端へ機能団を導入した。
|
Outline of Annual Research Achievements |
強靭な機能性高分子材料の創製を目的とし、本研究では動的共有結合を有する架橋高分子の合成を行った。架橋点にロタキサン構造を持つロタキサン架橋高分子(RCP)は、その架橋点の可動性により、共有結合型の架橋高分子(CCP)より優れた機械特性を示すことが知られている。RCPの高い靭性の主なメカニズムは架橋点が加えられた力に対応してスライドすることで材料に加わる応力を緩和する滑車効果で説明される。一方、滑車効果だけでは説明できない強靭なRCPが報告されている。 本研究では、RCPの強靭化メカニズムを明らかにするため、ロタキサン架橋に由来する変形・応力緩和過程を、力学的刺激に応答して着色を示す動的共有結合を導入して調査を行った。すなわち、力学的刺激によりピンク色の安定なラジカルに開裂するジフルオレニルスクシンノニトリル骨格をロタキサン架橋点に導入したメカノクロミックロタキサン架橋高分子(MRP)を開発した。得られたMRPの機械的特性およびメカノクロミック特性を、いくつかのRCPおよびCCPと比較し、その強靭性のメカニズムに迫った。現在、この研究成果についての論文の執筆を終え国際誌に投稿予定である。 また昨年度に続き、動的共有結合の一つであるビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)ジスルフィド(BiTEMPS)骨格を利用した環状高分子の合成も行った。昨年度までにBiTEMPS骨格の結合交換反応を駆動力とした高分子の構造再配列を利用し、BiTEMPSを有する環状高分子の合成を達成している。本研究では、バイオベースポリマーの機能化を目指し、本手法を利用した環状バイオベースポリマーの合成を行った。得られた動的な環状高分子は、その動的な特性を利用し、末端への機能団の導入や、異種の高分子とブレンドできることが明らかとなった。本成果についても論文執筆中であり、国際誌に投稿予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は当初の計画に従って期待通りに研究が進展し、本研究の目標である「異種のポリマー同士の一次構造制御による機能性材料の創出」と「動的共有結合を用いた架橋高分子の破壊メカニズムの解明」において着実な進捗が見られる。これらの成果について、第一著者として論文を二報執筆しており、国際学術誌への投稿を予定している。またこれらの研究成果について国際学会にて口頭発表を2件、ポスター発表を2件行なった。今後も新たな分野の開拓とさらなる研究の発展が見込まれている。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまで、架橋高分子の強靭化メカニズムについて、新たな機構の解明を行なっている。ここで解明した機構を元に、動的共有結合とロタキサンを併せ持つ、強靭で柔軟な材料の創出を目指す。また、これまでの研究成果について積極的に国際学会での発表および国際誌への投稿を行う。
|
Report
(2 results)
Research Products
(11 results)