炭素炭素二重置換同位体分子計測による新しいバイオマーカーの開発
Project/Area Number |
22KJ1277
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Project/Area Number (Other) |
21J22057 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 17050:Biogeosciences-related
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田口 宏大 東京工業大学, 理学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 同位体分子 / 炭化水素 / 安定同位体 / 二重置換同位体分子 / エタン / Isotopologues / Clumped |
Outline of Research at the Start |
本研究は、同位体の構造に着目した同位体分子を利用し、天然ガスの起源を判別可能な同位体指標を構築することを目指す。天然ガスは主にメタン、エタン、プロパンなどの低分子炭化水素で構成され、地球上に広くガス田として存在している。これら炭化水素は、主に体積有機物の熱分解やメタン生成菌によりつくられる。一方で、一部には無機炭素の有機合成反応を経て生成されたものがあると考えられている。炭化水素の合成場は、生命進化において重要な環境であると期待されるが、炭化水素の起源を明確に区別する手法は未だない。本研究では、エタンの二重置換同位体分子を応用し、炭化水素の起源を識別する新たな同位体手法を構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
二重置換同位体分子とは、エタンの場合、二つある炭素がともに存在度の低い13C同位体である分子(13C2H6)である。二重置換の度合い(二重置換度)は炭素の13C存在度(約1%)から統計的に予測が可能(約0.01%)であるが、天然の分子の二重置換度は、C-C結合の形成または乖離の際の同位体分別によって統計予測からわずかにズレる。本研究は、無機的な炭化水素合成の際に二重置換度が統計的存在度と比べて過少となることを見出し、それを用いて生物由来炭化水素と区別が可能であることを示した。この成果はNature Communications誌に受理され、掲載された(Taguchi et al., 2022)。 一方、熱分解過程で生じる炭化水素の同位体分子的特徴を明らかにするために1年以上に及ぶ有機物熱分解実験を行っている。現時点でのデータにもとづけば、熱分解起源炭化水素の二重置換度は、分解前の前駆体分子の二重置換度を反映しており、その同位体分子的特徴は熱分解過程によって有意に変化しないことを見出している。これは、天然の炭化水素の由来を二重置換度を用いて判別することに重要な根拠を与えるものである。 JAMSTECの調査船「かいめい」でマリアナ島弧に位置するアステソル蛇紋岩海山と南チャモロ蛇紋岩海山の調査をした。一般に、蛇紋岩化反応に伴って炭化水素が無機的に生成すると考えられており、その化学過程・形成過程を開発した同位体分子計測を用いて調査する。採取した試料は、ただちにGC-FIDを用いてLHC濃度を定量し、同位体分子分析に十分な量が含まれるかを判定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたエタンの合成実験に取り組んだ結果、本研究の目的であった二重置換同位体分子のバイオマーカーとしての有用性が明らかになった。この成果は査読付き国際学術誌に受理された(Taguchi et al., 2022 Nature Communications)。さらに、前年度から進めている熱分解実験に加えて、湧出する炭化水素が非生物起源である可能性の高いガスの採取を行った。具体的には、マリアナ島弧に位置するアステソル蛇紋岩海山と南チャモロ蛇紋岩海山おいて気体成分を採取できた。本研究の目的達成に資する試料を獲得できた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに実験・観測・分析という本研究の骨格となる作業を一通り進めることが出来ている。今後は、熱分解実験で生成した炭化水素の同位体組成の分析と解析を進めるとともに、マリアナ島弧の蛇紋岩水系から採取したガス試料の分析を進める。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Low 13C-13C abundances in abiotic ethane2022
Author(s)
Taguchi, K., Gilbert, A., Sherwood Lollar, B., Giunta, T., Boreham, C.J., Liu, Q., Horita, J., Ueno, Y.,
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 13
Issue: 1
Pages: 5790-5790
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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