水素結合を駆使したペプチド結晶の構造と電子物性の制御
Project/Area Number |
22KJ1321
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Project/Area Number (Other) |
22J14973 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 28010:Nanometer-scale chemistry-related
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
茂田井 和紀 東京工業大学, 物質理工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ペプチド / 結晶 / 金属イオン / エレクトロニクス |
Outline of Research at the Start |
これまで、自己組織化ペプチドを機能性材料として利用する試みがなされてきた。例えば、Gazit らは2個のアミノ酸からなるジペプチドの自己組織化構造が、触媒・圧電素子・発光素子として機能することを発表した(Tao, Kai, et al. Science 358.6365 (2017): eaam9756.)。ペプチドの応用として、その生体分子との親和性から、バイオセンサの活性層として使用できる可能性がある。 これまでの有機半導体を使用したバイオセンサー開発の知見を活かすことにより、より生体親和型のバイオセンサの実現が可能になると期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
ペプチドは水溶液中で自己組織化し多種多様なナノ構造を形成する。そのナノ構造を利用した新しいエレクトロニクス材料への研究がこれまでなされてきた。しかし、ペプチドがもつその電気伝導特性の低さが、実際の応用を妨げる課題となっていた。本研究ではペプチドの結晶構造中に金属イオンをドーピングすることによって、電気伝導特性を付与し新しいエレクトロニクス材料への応用の可能性を切り拓く事を目的とする。いかにその研究結果の概要を示す。 1.テトラペプチドの分子設計:世界的に取り組まれているジフェニルアラニンの配列にグルタミン酸を加えたテトラペプチドを独自に設計し、メリフィールド固相合成による合成を行った。 2.テトラペプチドの結晶化:得られたペプチドの蒸気拡散法による結晶化を行った。蒸気拡散法を行うにあたって、飽和食塩水濃度やペプチド濃度などの結晶化パラメーターを調整することによって、結晶化条件の最適化を行い安定に結晶を得られる条件を見つけた。 3.結晶構造解析:放射光を用いた単結晶構造解析により単結晶構造を得た。その結果、ペプチドがアンチパラレルのβシート構造を持ち、βシート方向から見た際に一次元的な孔をもつことを発見した。 4.金属イオンのドーピング:得られた結晶に金属イオンのドーピングを行い、カーボンペーストを用いた二極測定によりその電気伝導特性を調べた。その結果、得られたペプチドの電気伝導特性を100倍以上向上させることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
卒業後のポストを獲得するために就職活動を行っており、そのための活動に時間を取られている。そのため研究活動に支障が出ている。博士論文を書くにあたって研究をやり切ってから就職活動を考える機会を設けたいが、この先研究者として研究していくためには常に就活と研究と論文執筆を考えなくてはいけないため受け入れるしかないと考える。自身の研究を行うにあたって結果に合わせて研究背景を再度練り直す必要があり、そのための先行研究調査などに時間を充てる必要がある。また、実験結果の再現性を担保するためにX線回折測定を行う必要があり、そのための装置予約などに時間を取られている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はX線回折測定の結果を担保するために結晶化及び金属イオンのドーピングの様子のリアルタイムモニタリングを行う必要がある。測定にあたって現在は結晶からのX線回折のピーク強度が弱いという問題があり、その課題を解決するために顕微鏡観察及びラマン分光を組み合わせた測定を行うことで、X線回折測定前の事前評価を行うことを検討する。これによってX線回折測定を行う前にサンプルの選択効率を劇的に改善することが期待される。 また、サンプルの結晶化条件などの再検討も行う。具体的には結晶化に用いるペプチドのパウダーを発注したものと実際に合成したものを比較することにより、どちらが結晶化に好ましいかを明らかにする。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)