Project/Area Number |
22KJ1328
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Project/Area Number (Other) |
22J20672 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 36010:Inorganic compounds and inorganic materials chemistry-related
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大見 拓也 東京工業大学, 物質理工学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 有機-無機ハイブリッドペロブスカイト / 欠陥秩序 / チオシアン酸 / ペロブスカイト太陽電池 / スピンコート / 結晶構造 / 単結晶 / 欠陥オーダー / 次元制御 / チオシアネート / 安定性 |
Outline of Research at the Start |
本課題では、擬ハロゲンと呼ばれる一価の分子アニオンに着目し、有機-無機ハイブリッドペロブスカイト化合物のための新しい物質探索領域を開拓する。バルクおよび薄膜試料の構造・物性評価と計算科学を用いた物質設計により、擬ハロゲンがハイブリッドペロブスカイトにもたらす機能を明らかにする。特に、無機固体化学に立脚した合成手法や構造解析技術を活用し、結晶構造と物性(安定性)を結びつけた研究を推進する。
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Outline of Annual Research Achievements |
α-FAPbI3(FA=CH(NH2)2)は、太陽電池材料として有望な特性を持っていることから近年注目を集めている。しかしα相は室温準安定相であり、安定性の向上が課題である。本年度では、研究計画の主たる目標である、チオシアン酸アニオン(SCN-)に着目した新規有機-無機ハイブリッドペロブスカイト化合物の探索において、大きな成果が得られた。 前年度から継続して取り組んできた、ペロブスカイトFAPbI3へのSCN-の置換効果を解き明かした研究論文がJ. Am. Chem. Soc.誌に掲載された。本成果では、SCN-がペロブスカイト構造に柱状の欠陥を生成し、その欠陥が周期的に整列した特異な超格子を持つ結晶構造を明らかにした(以下α′相と呼ぶ)。結晶構造解析の結果の解釈から、α′相の結晶構造が足場として働き、ペロブスカイトα-FAPbI3を安定化する機構を提案した。 また、α′相の合成条件からFAPbI3とSCN-の混合比を変化させることで、SCN-により生成される柱状欠陥が層状に整列し、層状ペロブスカイト構造を形成することが明らかとなった。本化合物は上記のα′相と合わせて、欠陥秩序に基づく新しい化合物系列として定義づけた。本成果は、ACS Mater. Lett.誌に掲載された。 下半期は、デバイス応用や液相での結晶合成に関して卓越した技術を有するビクトリア大学のSaidaminov研究室に滞在し、研究課題の遂行に励んだ。α′相をバッファー層として実装した太陽電池デバイスを作製し、良好な結果が得られた。これと並行して、先述の化合物系列に属する新規欠陥秩序相の単結晶を液相法で育成することに初めて成功した。さらに、本化合物系列のスピンコート膜を合成し、光物性評価を実施した。得られた薄膜はUV 照射下で蛍光を示すだけでなく、発光特性が欠陥の秩序様式に依存することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ペロブスカイトFAPbI3へチオシアン酸イオンが置換した新規化合物の合成と結晶構造解析に成功した。チオシアン酸イオンがペロブスカイト構造に柱状の欠陥を生成し、その欠陥が周期的に整列することで、特異な超格子を持つ結晶構造を形成することを見出した。その結晶構造が足場として働き、ペロブスカイトα-FAPbI3を安定化する機構を明らかにすることができた。本成果は、J. Am. Chem. Soc.誌に掲載された。 それに加えて、チオシアン酸イオンにより生成される柱状欠陥が層状に整列した層状ペロブスカイト化合物の合成に成功し、欠陥秩序に基づく新しい化合物系列FAn+1Pbn-1I3n-1.5(SCN)0.5を発見することができた。本成果は、ACS Mater. Lett.誌に掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度で新たに見つかった、八面体骨格が鎖状に連なったペロブスカイト派生化合物の結晶構造と特性評価を進め、一次元的な結晶構造に由来する興味深い現象や物性を引き出す。また、発見した化合物系列のスピンコート薄膜合成やそれを用いた発光特性の評価に引き続き取り組むとともに、太陽電池としての応用に向けた実験を進める。
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