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ホウ素とπ電子系の緊密な相互作用による物質変換化学の開拓

Research Project

Project/Area Number 22KJ1340
Project/Area Number (Other) 22J23124 (2022)
Research Category

Grant-in-Aid for JSPS Fellows

Allocation TypeMulti-year Fund (2023)
Single-year Grants (2022)
Section国内
Review Section Basic Section 33010:Structural organic chemistry and physical organic chemistry-related
Research InstitutionTokyo Institute of Technology

Principal Investigator

村田 幸優  東京工業大学, 物質理工学院, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2023-03-08 – 2025-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Keywordsホウ素 / オレフィン / π配位 / 骨格転位
Outline of Research at the Start

ホウ素の2p軌道とオレフィンのπ軌道の近接相互作用は、有機反応の駆動力となる。我々は、ホウ素とオレフィン部位が分子内で近接した含ホウ素π共役マクロサイクルを合成し、ホウ素―オレフィン間にファンデルワールス相互作用を超える強い近接相互作用が働くことを見出した。また、含ホウ素π共役マクロサイクルのホウ素の電子欠損性を増大させてカチオンとすると、複数の炭素-炭素結合の切断/形成を伴って更なる骨格転位反応が誘起されることが見出され、その詳細な機構を明らかにした。本研究ではこの反応系で得られた知見から、ホウ素とπ電子系の相互作用が媒介する新奇な炭素骨格形成反応の開発へと展開する。

Outline of Annual Research Achievements

令和5年度は、ホウ素とπ電子系との相互作用が誘起する骨格転位反応の機構解明と反応中間体の捕捉検討に取り組んだ。北海道大学理学研究院の前田理教授のグループと共同で、GRRMプログラムを用いた反応経路探索を検討した。その結果、ホウ素上におけるハロゲン引き抜き反応により発生したホウ素カチオンに対し、分子内のオレフィン部位が結合することでカルボカチオンが生じ、カルボカチオンが分子内で転位することで炭素―炭素結合の切断と形成を伴って進行していることが示さ れた。 また、ボロセニウムイオンに対してヒドリドイオンが付加して得られる中性ホウ素化合物は加熱により多環式ホウ素化合物へとさらに骨格転位する。本反応の機構を明らかにするために嵩高い置換基を有するカルベンによる反応中間体のトラップ実験を試みたところ、ホウ素がアルキル鎖のC-H結合へ挿入された構造を有する化合物のカルベン付加体が低収率ながら単離され、単結晶X線構造解析によって分子構造の詳細を明らかにすることができた。この結果は、加熱することで、分子内にボリレンのような高活性ホウ素化学種が生成している可能性を示唆しており、今後、新たなホウ素活性種を開拓する上で期待が寄せられる結果と 捉えている。これらの成果は、論文として投稿している(Chem. Commun., 2023, 59, 13635ー13638 .)。また、第50回有機典型元素化学討論会にてポスター発表を行い、ポスター賞を受賞した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

本研究ではホウ素とπ電子系の相互作用により誘起される、分子の骨格転位反応の機構解明を目的としている。今回の結果は、高活性なホウ素化学種が分子内で発生することで安定なaliphaticのC-H結合を活性化していると考えられ、ホウ素の反応性として非常に新奇なものであると予想される。従って、高活性のホウ素化学種を加熱により発生させる新たな手法としての確立が期待されており、当初の計画では予想していなかった着想へと研究を展開することができており、本研究は当初の計画以上に進展していると言える。

Strategy for Future Research Activity

今後は、今回の実験によって得られた知見をもとに、新たな分子設計指針に基づいた分子を合成して、新たな高活性ホウ素化学種の発生とそれを利用した分子間反応への応用を検討していく予定である。1,2-Diborabenzene骨格を有する分子に対し、アセチレンをDiels-Alder反応させて得られるBicyclo-[2.2.2]-diboraoctadieneを加熱すれば、retro-Diels-Alder反応により、ヘキサメチルベンゼン骨格と、B=B二重結合を持つジボレンが発生することが期待される。このような化学種をホウ素―ホウ素結合を分子に導入することができる反応として利用することを予定している。
また、ホウ素の空軌道とπ電子系の相互作用を利用した新奇な機能性有機分子の創成にも取り組む。フラーレンのC=C結合に対してボランをヒドロホウ素化反応などにより導入することができれば、フラーレンのπ軌道とホウ素の空の軌道とが直交して近接相互作用した状態を形成することができ、フラーレンの元々有する電子受容性をさらに増大させられると考える。これはn型有機半導体材料としての利用において新たな電子物性を有する材料としてだけでなく、フラーレンの嵩高い分子骨格により、有機ホウ素化学における新たなホウ素上の置換基としての用途も期待できる。

Report

(2 results)
  • 2023 Research-status Report
  • 2022 Annual Research Report
  • Research Products

    (4 results)

All 2023 2022

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results)

  • [Journal Article] Skeletal rearrangement of a boron-containing annulenic molecule into a macrocycle bridged by an electronically stabilized boron cation2023

    • Author(s)
      Murata Yukihiro、Ozen Cihan、Maeda Satoshi、Fukushima Takanori、Shoji Yoshiaki
    • Journal Title

      Chemical Communications

      Volume: 59 Issue: 91 Pages: 13635-13638

    • DOI

      10.1039/d3cc04830f

    • Related Report
      2023 Research-status Report
    • Peer Reviewed
  • [Presentation] ホウ素ーオレフィン近接相互作用により誘起される含ホウ素π電子系化合物の骨格転位反応2023

    • Author(s)
      村田幸優
    • Organizer
      第50回有機典型元素化学討論会
    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] ホウ素とオレフィンの近接相互作用による含ホウ素環状π共役化合物の骨格転位反応2023

    • Author(s)
      村田幸優
    • Organizer
      日本化学会第103春期年会
    • Related Report
      2022 Annual Research Report
  • [Presentation] ホウ素ーオレフィン近接相互作用により誘起される含ホウ素π電子系化合物の骨格転位反応2022

    • Author(s)
      村田幸優
    • Organizer
      第32回基礎有機化学討論会
    • Related Report
      2022 Annual Research Report

URL: 

Published: 2022-04-28   Modified: 2024-12-25  

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