Project/Area Number |
22KJ1398
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Project/Area Number (Other) |
21J20591 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 38050:Food sciences-related
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
金井 典子 横浜国立大学, 理工学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | セルロースナノファイバー / 農業・食品廃棄物 / アップサイクル / ピッカリングエマルション / 不安定化機構 / 食品・農業廃棄物 / 液滴サイズ分布 |
Outline of Research at the Start |
ドデカン(単一油)とオリーブ油(混合油)で乳化した水中油滴型PEを比較し、乳化後一か月間安定したPEの調製に必要なホップ蔓由来TCNF濃度が1%程度であることを見出した。油滴/TCNF分布観察から、ドデカンPE、オリーブPEでは複数の乳化破壊メカニズムが異なる度合いで進行していることが示唆された。高分解能核磁気共鳴イメージング(MRI)を使用してPE全体の内部微細構造を撮影し、凝集/合一した油滴の可視化に成功した。PE全体を緩和時間画像(T1、T2 map)・拡散係数画像(ADC map)として再構成し、ボクセル単位の緩和・拡散特性から乳化破壊の進行による微細構造変化との相関を明らかにした。
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Outline of Annual Research Achievements |
合成界面活性剤を使わずに、環境負荷の少ないセルロースナノファイバー(CNF)を乳化安定剤として用いたピッカリングエマルション(PE)が注目を集めている。本研究では、食品・農業廃棄物由来のTEMPO酸化型CNF(TCNF)で安定化された水中油滴型PEの不安定化機構の解明を目的としている。 横浜国立大学で行った、ホップ蔓由来TCNFで安定化されたPEの安定性評価をColloids Surf., A誌に論文発表した。ドデカンとオリーブ油の二種類の油を用いて、乳化後一か月間分離しないPEの調製に必要なCNF濃度の決定と油滴サイズ測定を行った。また、油滴/TCNF分布観察から、ドデカンPE、オリーブPEでは複数の乳化破壊メカニズム(フロキュレーション、オストワルド熟成、合一)が異なる度合いで進行していることが示唆された。 2022年1月よりオーストラリアWestern Sydney University(WSU)に滞在し、高分解能核磁気共鳴イメージング(MRI)による緩和・拡散法を使ったPEの乳化破壊メカニズムの解明を行った。医療用に一般に使われるMRIよりも非常に大きい磁場強度(11.7, 14.1 T)を使用することで、数百マイクロメートルの解像度でドデカン・オリーブPEの内部微細構造を撮影し、PE表面付近に凝集/合一した油滴の可視化に成功した。また、PE全体をボクセル単位の緩和時間画像(T1 map、T2 map)および拡散係数画像(ADC map)として再構成することにより、遊離油・乳化層・水層が異なる緩和・拡散特性をもつことを明らかにした。ドデカンPEの乳化層のT1分布は、乳化破壊による微細構造変化との相関が見られたことから、T1 mapがPEの微細構造評価に使用できることを提案した。以上の結果をLangmuir誌に発表し、Supplementary coverに採用された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に立てた計画通り、WSUにおいてホップ蔓由来TCNFで安定化されたPEのNMR/MRIを使ったPEの緩和・拡散研究を推進しており、2022年度には筆頭著者として二報の学術論文を発表した。当初の目的であった液滴サイズ分布評価は最終年度に行う予定である。以上の点から、本研究課題は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
ドデカンPEの乳化層の見かけの拡散係数(ADC)は、PE全体の粘度と相関がないことが明らかになっている。この結果は、PE中の油滴サイズ/分布による油の拡散制限、および局所的な油滴のパッキング(フロキュレーション構造など)による油滴周囲の水の拡散制限の影響を反映している可能性が高い。そのため、今後は拡散NMR測定により、ホップ蔓由来TCNFで安定化されたPEの拡散ダイナミクスを分子レベルで解明する。油分子の拡散NMR測定と制限拡散モデルからPEの液滴サイズ分布を決定する。また、溶媒サプレッションを用いたPE中でのTCNFの緩和・拡散測定を試みる。さらに、分子動力学(MD)シミュレーションを使って油-TCNF-水からなる系を構築し、水/油界面におけるTCNFの吸着挙動を解明する。 本研究の最終目標は、拡散NMR測定とMDシミュレーションで得られた結果から、PEの系全体のダイナミクスを記述することである。
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