電解発生カチオン種の時空間的レドックス制御に基づく医薬分子合成プロセスの確立
Project/Area Number |
22KJ1401
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Project/Area Number (Other) |
22J00431 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 38040:Bioorganic chemistry-related
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
岡本 一央 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 有機合成化学 / 電解合成 / フローマイクロリアクター / カルボカチオン |
Outline of Research at the Start |
電極表面における酸化的プロセスによって生じるカチオン種は、有機合成化学における有用な活性中間体である一方でその寿命は極めて短い。また、電解反応の反応選択性は酸化電位の大小に依存するため、酸化的プロセスにおいて電子豊富(酸化電位の低い)な反応剤共存下で活性中間体を生成・反応させることは困難である。本研究ではフローマイクロリアクターを用いることで、①極めて高い反応性を有するカチオン種の生成とミリ秒単位の高速反応(時間的制御)、②流路チャンネルの切り替えによる基質の選択的活性化およびキラル反応場を利用した立体選択的反応の開発(空間的制御)を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、フロー電解系におけるカルボカチオン種の発生条件を探索するため、古典的な電解活性種であるフェノキソニウムカチオンをターゲットとして検討を進めた。その結果、本活性種を発生させうる最適条件を見出し、フェノール類とアルケン間の[3+2]環化付加反応を0.01M程度のごく希薄な支持電解質溶液中で高効率に実施することに成功した。種々の電気化学的測定により、マイクロリアクター内部では希薄電解質溶液でも十分な導電性が確保されていることが確認された。従来広く利用されてきた電極間距離の極めて小さいフロー電解条件では、陽極で生じたフェノキソニウムカチオンが即座に陰極還元を受けてしまい、目的の反応を進行させることが困難であったが、電極間距離を一定の広さへ拡張することでこの課題を解決することに成功した。生成物の酸化電位は基質とほぼ同程度であるものの、フロー電解系では連続的な送液により環化付加体が電極表面から空間的に隔絶されるため、生成物の過剰酸化が抑制される。また、今回用いたマイクロリアクターは新規に設計された組み立て容易な構造であり、なおかつ電極間にサンプル溶液を送液するのみの簡便な実験系であるためハイスループットな検討を行うことが可能である。さらに、本反応を利用することで、含窒素複素環であるジヒドロフロカルバゾール骨格の一挙構築にも成功した。 電解反応は通電のみで様々な酸化・還元反応を実施できるという利点が存在する反面、有機溶媒へ導電性を付与するために過剰量の支持電解質を必要とする点が課題となっている。そのため、極めて短い電極間距離を有するフローマイクロリアクターを利用すれば、上述のように溶液抵抗を抑えることで支持電解質の添加量を大幅に削減した高効率な合成プロセスを構築することが可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フロー電解系におけるフェノキソニウムカチオンの発生と後続反応の実施に成功したため。本成果はフェノキソニウムカチオン中間体を経る[3+2]環化付加反応をフロー電解系で実施した初めての例であり、本反応の応用によりジヒドロフロカルバゾール骨格の直接合成にも成功していることから、予定通りの計画で検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
ジヒドロフロカルバゾール合成反応の最適化を進めるとともに、反応中間体として推定される新規ヘテロ環カチオン種の挙動解析を行う。また、今年度確立したフロー電解系を活用することで、基質よりも酸化電位が低いアルケンとのカップリング反応を検討し、バッチ系では合成が不可能な骨格の構築に挑戦する。また、医薬構造に見出されるピロリジン誘導体の合成を視野に入れて他のカルボカチオン種の電解発生を検討していく予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(13 results)