Project/Area Number |
22KJ1478
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Project/Area Number (Other) |
22J22950 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 46030:Function of nervous system-related
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
泉 翔馬 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 内側前頭前野 / ニコチン / 物体認知記憶 / シナプス可塑性 / ホールセルパッチクランプ記録法 / マウス |
Outline of Research at the Start |
本研究は、認知機能を司る脳領域である内側前頭前野(mPFC)に焦点を当て、mPFCから他の脳領域への出力を担う神経細胞の活動や、同じく認知機能に関与している海馬からの神経伝達におけるシナプス可塑性に対してニコチンが与える影響を細胞、および、動物個体レベルで明らかにすることで、ニコチンが有する認知記憶向上作用の神経メカニズムを理解し、認知機能障害に対する新規治療法や治療薬を創出することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、①ニコチン慢性投与によりマウス内側前頭前野(mPFC)に誘導されるシナプス可塑性、および、②ニコチン急性バス適用によるスパイクタイミング依存性シナプス可塑性の調節について電気生理学的手法を用いて検討した。①ニコチンまたは生理食塩水を5日間連続で皮下投与し、6日目に脳スライス標本を作製してmPFC V層錐体細胞からホールセル記録を行った。前年度では慢性ニコチン投与により長期増強が誘導されることを示したが、新たに、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)アンタゴニストであるメカミラミンを前投与することによって、ニコチンによる長期増強の誘導が阻害されることを見出した。一方で、ニコチンを単回投与し、翌日に記録を行った場合には長期増強の誘導は認められなかった。したがって、ニコチンによるmPFC V層錐体細胞の可塑的変化は、複数回のnAChRの刺激を介して誘導されることが明らかになった。②興奮性神経伝達において、プレシナプスの活動電位がポストシナプスの活動電位に先行することを繰り返す(ペアリング)と、長期増強が誘導されることが知られている。一方で、ニコチン存在下でのペアリングは長期抑圧を誘導するが、そのメカニズムについての知見は乏しい。長期抑圧は多くの場合、ポストシナプスのAMPA受容体が膜内に取り込まれるエンドサイトーシスにより誘導される。そこで、記録電極内にエンドサイトーシス阻害薬であるDynasoreを添加し、ニコチン存在下でペアリングを行ったところ、長期抑圧の誘導が阻害された。したがって、ニコチン存在下でのペアリングにより誘導される長期抑圧は、エンドサイトーシスを介することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、ニコチンによりmPFC V層錐体細胞に誘導される長期増強は、複数回のニコチン性アセチルコリン受容体の刺激を介して誘導されることを明らかにした。加えて、mPFCスライス標本において急性ニコチン適用と長期増強を誘導する刺激プロトコル組み合わせることにより誘導される長期抑圧には、エンドサイトーシスが重要な役割を担うことを見いだした。これらの結果を動物の脳内に応用することで、本研究の目的である、シナプス可塑性に対してニコチンが与える影響についての理解が進むことが期待される。以上のことから、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果から、慢性、および、急性ニコチン暴露による認知記憶増強作用にはmPFCにおける長期増強と長期抑圧の両方がそれぞれ関与している可能性が考えられた。したがって、これまでの方針に加えて、本年度の結果をマウスの行動に応用する実験を計画している。具体的には、長期増強の維持に必要なCofilinと、活性酸素の発生により近傍のタンパク質を不活性化するSuperNovaを組み合わせた融合タンパク質(CFL-SN)を用いて、ニコチン慢性投与によりmPFC錐体細胞に誘導された長期増強の解除を行う。これにより慢性ニコチン投与による認知記憶増強作用に対するmPFCにおける長期増強の役割を明らかにする。ニコチンの急性作用については、DynasoreをmPFC内に局所投与し、長期抑圧を抑制することでニコチンの認知記憶増強作用を阻害できるか検討する。さらに、mPFCにおいて薬理学的に、あるいは、光遺伝学的手法を用いて海馬CA1→mPFC経路選択的に長期抑圧を誘導し、ニコチンによる認知記憶増強作用におけるCA1→mPFC経路と長期抑圧の役割を明らかにする。
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