Project/Area Number |
22KJ1571
|
Project/Area Number (Other) |
22J14813 (2022)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 33010:Structural organic chemistry and physical organic chemistry-related
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田島 慶太 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | 含窒素多環芳香族炭化水素 / n型有機半導体 / 有機色素 / 光励起三重項 / イミド / 電子受容性化合物 / 分子配列の制御 / n型有機半導体 |
Outline of Research at the Start |
π共役分子が接近すると、分子間に相互作用が発生する。この相互作用が強いほど、有機電子材料における電荷伝達が有効化する。この相互作用は分子間距離に負の相関を示す。ゆえに、近接π積層体の実現は高性能有機電子材料の創製に直結する。ただし有機分子は本質的に電子豊富なため、積層時に斥力が働く。その結果、多くのπ共役分子の分子間相互作用は中程度に留まる。 そこで本研究では、近接積層を示すラジカル分子または反芳香族分子に注目した。これらの分子に対して電子不足性を付与させることで、分子間の斥力の低減が期待できる。この分子設計により、超近接π積層の達成と、それに付随する破格に大きな分子間相互作用の実現を狙う。
|
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度では、フェナジンビスイミドの合成とそのn型半導体特性と光物性について網羅的に調査した。本化合物は、本研究計画で掲げたイミン型窒素原子と電子求引基のイミド基を同時に導入された化合物に相当する。本化合物は結晶中で積層構造の形成が確認された。しかしながらその最近接距離は0.35 nm程度にとどまった。一方、電気化学測定の結果から、本化合物は高い電子受容性を持つことを明らかにした。またその特性を活かして、有機電界効果トランジスタを作製したところ、高い電子移動度を示すn型半導体として機能することを見出した。さらに光物性を調査したところ、光励起によって効率的に項間交差を起こし、光励起三重項種を生成することを見出した。興味深いことに、トルエン中で光照射を行ったところ、光還元反応が進行することを見出した。これによって得られた還元体に対して酸化剤を作用させたところ、極めて安定なラジカルを与えることを見出した。このラジカルは酸化還元反応によって対応する安定カチオンまたはアニオンを与えることも見出した。これらの機能は、イミン型窒素原子とイミド基の同時導入という手法が、電子受容性の向上のみならず、様々な機能発現に寄与するものであると考察される。 研究期間全体を通して、研究題目である超近接積層体の実現には至らなかったものの、その研究の過程で、高性能なn型半導体材料の創出や、魅力的な光物性や刺激応答性を示す機能性色素の創出に成功した。本研究の成果は、将来実用的な機能性有機材料が開発されていくうえで、重要な位置づけとなりうるものであると考えられる。
|