電波干渉計観測で挑む銀河進化: 史上初の巨大分子雲進化過程の包括的理解
Project/Area Number |
22KJ1604
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Project/Area Number (Other) |
22J22931 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 16010:Astronomy-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山田 麟 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 天文学 / 宇宙物理学 / 巨大分子雲 / 銀河面サーベイ / 大質量星形成 / 星間物質のライフサイクル |
Outline of Research at the Start |
巨大分子雲(GMC)は銀河における星形成の主要な現場であり、GMC進化の理解は銀河進化の解明において不可欠な課題である。本研究は、銀河系とマゼラン雲を含む約100個の銀河において、5万個以上の巨大分子雲(GMC)の星形成活動を詳細に解明し、GMCのタイプ分類を行なってGMC進化の物理過程を明らかにする。特に、従来試みられなかった銀河系内GMCの解析も広範に実施してテンプレートとし、GMCの形成から散逸までの過程の詳細解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は天の川銀河の太陽円外に着目し、100個以上の巨大分子雲の同定を中心として研究を推進した。当初予定では多数の系外銀河を解析する予定であったが、系外銀河データでは10^5 Moよりも低質量なサンプルが同定できず、GMC進化初期の追究が難しい。そこで、銀河系に着目することで、質量的な検出限界7x10^3 を達成した。Fukui et al. 1999とKawamura et al. 2009でLMCに適用された巨大分子雲のType分類(GMCをType I: 大質量星形成をしていない、Type II: 中程度の大質量星形成の段階、Type III: 大規模な大質量星形成)を適用した。主な結果を以下に示す。 1)銀河系の太陽円外においては、各Typeの個数比は1:1:0であった。これはLMC、M33、M74における個数比1:2:1とは異なっている。Type I割合が大きい原因は、より低質量で進化段階の若いGMCを十分にサンプルできたことによる。また、LMCとの比較からGMC周辺の中性水素原子ガスの不足がType IIIが存在しない原因と考えられる。 2)Type IIのGMCは柱密度、質量、半径、速度分散についてはType Iより有意に大きいため、進化に従って増加していることが示唆された。一方で平均密度とビリアルパラメータには有意な変化がみられなかった。これは、GMCは密度の変化なしに、サイズの増加に伴って質量が成長していることを示唆する。系外銀河ではType IIからType IIIへの進化が重力的な緩和過程として特徴付けられるが、その前段階として「サイズ増加による質量成長」があるものと考えられる。 以上に加え、進化初期のGMC GL 490について野辺山45m望遠鏡を用いたCO(1--0)観測を行い、進化初期のGMCにおける分子雲衝突による質量成長の可能性を指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は巨大分子雲の進化の標準的な描像を得ることを目的としている。当初の予定ではALMA望遠鏡によって取得された約70個の系外銀河にType分類を適用する予定であったが、系外銀河のALMAデータでは質量的な検出限界が10^5 Moであり、GMCの進化初期を追究するには不十分であるとわかった。そこで当初予定を変更して銀河系内に着目したことで、10^5 Mo以下のGMCが10^5 Mo程度に進化するまでの過程を議論することができた。この成果は銀河系内に着目したからこそ得られた結果であり、GMC進化解明に向けた重要なステップであると言える。このため、計画変更を踏まえても研究計画の進行は概ね順調であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今までの成果の論文化を急ぐと共に、GMCを取り巻く中性水素原子ガスの定量を進める。全天がカバーされた中性水素原子のデータHI4PIが既にリリースされており、主として本データを活用する。特に重要な項目として、GMCの質量変化率の導出がある。Fukui et al. 2009によってLMCでGMCに付随する中性水素原子ガスの量を定量し、質量変化率を導く研究が行われており、この手法を参照しつつ、必要に応じて修正する予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Evidence for a cloud-cloud collision in Sh2-233 triggering the formation of the high-mass protostar object IRAS 05358+35432022
Author(s)
Yamada, Rin I. ; Fukui, Yasuo ; Sano, Hidetoshi ; Tachihara, Kengo ; Bieging, John H. ; Enokiya, Rei ; Nishimura, Atsushi ; Fujita, Shinij ; Kohno, Mikito ; Tsuge, Kisetsu
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Journal Title
Monthly Notices of the ROYAL ASTRONOMICAL SOCIETY
Volume: 515
Issue: 1
Pages: 1012-1025
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] GL 490 における分子雲衝突に誘発された星形成2023
Author(s)
山田麟 : 立原研悟,出町史夏, 深谷直史, 玉城磨生, 石川竜巳, 倉見和希, 高山楓菜, 松月大和, 福井康雄, 佐野栄俊, 藤田真司, 河野樹人, 西村淳, Doris Arzoumanian, 榎谷玲依, 徳田一起, 島尻芳人
Organizer
日本天文学会春季年会
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