哺乳動物FoF1ATP合成酵素全体の構造解析によるエネルギー変換の原子機構解明
Project/Area Number |
22KJ1638
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Project/Area Number (Other) |
20J40167 (2020-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2020-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 43020:Structural biochemistry-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
慈幸 千真理 京都大学, 複合原子力科学研究所, 特別研究員(RPD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2020: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | ATP合成酵素 / ミトコンドリア / 単粒子構造解析 / 膜蛋白質複合体 |
Outline of Research at the Start |
哺乳動物ミトコンドリアFoF1ATP合成酵素によるエネルギー変換メカニズムは、50年以上にもわたって構造解明の取り組みがなされ、クライオ電顕の技術発展によって部分的には明らかになっているものの、本酵素の働きについては、まだ未解明な点が多い。本酵素は柔軟で回転を伴うため著しく不安定であり、これが本酵素全体の均一な精製標品を得ることを難しくしており、このことが構造解析の発展を妨げている。これに対し申請者は、独自の精製手法の開発により安定な精製標品を大量精製し(京都大学より特許PCT出願ずみ)、全長の高分解能構造解析と、本酵素の経時変化がわかる単粒子動的構造解析を目指している。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、FoF1ATP合成酵素四量体(テトラマー)全体を安定化させ、その機能する全長を高分解能X線結晶構造解析すること、さらには、クライオ電子顕微鏡(クライオ電顕)を用い、単粒子静的構造解析及び溶液中の本酵素の経時変化(動的立体構造)を明らかにし、本酵素の働きについて、詳細なメカニズムを解明することを研究計画としていた。まず、高分解能構造学解析のために、試料調製に重点を置き研究を行った結果、本酵素モノマー、ダイマー、テトラマー、オリゴマーを安定に精製することに成功した。また、この方法で得られた本酵素は、溶液条件を最適化することで、ミトコンドリア内膜で存在するオリゴマー形態に戻すことができた(未発表)。可溶化によってオリゴマーでなくなった本酵素をin vitroで、もう一度オリゴマーに戻すことができたのは、世界で初めてであり、精製された本酵素が無傷で安定であるという証拠である。加えて、申請者は、哺乳動物のウシからだけでなく、ヒトの本酵素の精製方法も確立した。その成果は、京都大学から物質特許として出願し、2022年9月にはP C T出願された。次に、この精製方法で得られた試料に対してクライオ電顕観察を始めた。クライオグリッド作製のために精製過程で用いたショ糖の除去(溶液交換)や濃縮を行う必要があった。本酵素は透析も濃縮膜も使用することができなかったため、別の方法を開発し(未発表)、クライオグリッドの作製に成功した。 クライオ電顕を用いて、哺乳動物ミトコンドリアFoF1ATP合成酵素テトラマーの単粒子構造解析を共同研究により行なった結果、現在、全体では約6オングストーム、FoF1モノマーにフォーカスすると、3.6オングストローム分解能の構造を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生体膜内で本酵素は高次集合体(オリゴマー)を形成するが、機能する最小単位はテトラマーであると考えられているため、そのテトラマーを精製できていることは、構造学的研究において非常に価値がある。また申請者は、生理学的に非常に重要な天然の阻害蛋白質IF1が結合した本酵素テトラマーを精製可能であり、このことは、本酵素の研究にとって飛躍的な進歩であると考えている。2019年に報告された豚FoF1ATP合成酵素テトラマーの研究成果により、I F1は本酵素を固定化することがわかった。このことにより、クライオ電顕による単粒子構造解析においても、三次元結晶化を必要とするX線結晶構造解析においても、高分解能構造を導きやすくなる。現在、高分解能解析に必要な30分の1の粒子数しか集めていることができていないが、さらにデータセットをとることで、高分解能構造解析が期待できるからである。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに単分散性の高いクライオグリッドを作製し、クライオ電顕によるデータ収集をし、高分解能構造解析を行う。I F1結合型の本酵素テトラマーの単粒子構造解析に加えて、今後は、I F1を解離させ、可溶性ドメインF1が回転する条件下での本酵素テトラマーの構造解析を行い、溶液中の本酵素の経時変化(動的立体構造)を明らかにする予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Inhibition of ATP-synthase reverse-activity restores energy homeostasis in mitochondrial pathologies.2023
Author(s)
Perez, R., Beninca, C., Fernandez del Rio, L., Baghdasarian, C. Shu S., Zanette, V., Gerle, C., Jiko, C., Khairallah, R., Khan, S., Pacheco, D. R. F., Shabane, B., Erion, K., Masand, R.,S. Dugar, S., Ghenoiu, C., Schreiner, G., Stiles, L., Liesa, M., Shirihai, O.S.
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Journal Title
EMBO Journal
Volume: e111699
Issue: 10
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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