Exploring physics in the strong gravity regime with modified gravity
Project/Area Number |
22KJ1646
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Project/Area Number (Other) |
21J00695 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 一史 京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 修正重力理論 / ブラックホール / 摂動論 |
Outline of Research at the Start |
一般相対論は太陽系のような弱重力場において精密に検証されてきたが、今後の重力波によるブラックホールのような強重力場の現象の観測においては一般相対論では説明できない現象の発見が期待されている。従って、一般相対論を超える重力理論を研究することは喫緊の課題である。本研究では、スカラー自由度を一つ含んだ拡張重力理論の最も一般的な枠組みに基づいて、ブラックホール由来の重力波の理論予言を行う。これにより、今後の重力波観測の結果を用いて強重力場における物理を包括的に探査するための理論的基盤の確立を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
将来の重力波の観測によって、一般相対論では説明できないような観測結果が報告される可能性が高いことを考えると、一般相対論を超える重力理論を研究することは喫緊の課題である。このような動機から、これまでさまざまな拡張重力理論が提案されてきた。これらの理論はいずれも、計量テンソル以外に新たな自由度を導入することにより、一般相対論を拡張したものと理解することができる。このような拡張重力理論において普遍的に成り立つ性質を捉えるべく、計量に加えスカラー場を一つだけ含んだ重力理論であるスカラーテンソル理論が特に詳しく研究されてきた。 スカラーテンソル理論における時空の解は、一般にスカラー場の寄与のため一般相対論における時空とは異なるが、一般相対論と同じ厳密解を持つような理論も存在する。このような解は、背景のレベルで重力理論の修正による寄与が現れないことからステルス解と呼ばれる。一方でステルス解においても、摂動のレベルではスカラー場の影響が現れ、将来の重力波観測などにより一般相対論との区別が可能となることが期待される。一般に拡張重力理論の中には、観測による検証の土俵に乗る以前に、高階微分に由来する不安定性など根本的な問題があるものも多いが、研究代表者は、あるクラスのスカラーテンソル理論がそのような問題を回避しており、ブラックホールによる重力理論の検証を行うにあたって一般相対論の対抗馬として理想的に機能し得ることを示した。 また、スカラーテンソル理論の枠組みとしてそれまで最も一般的であろうと思われていた縮退高階スカラーテンソル理論の枠組みを、場の高階微分を含んだ変数変換を用いて大幅に拡張することに成功した。この新たな重力理論の枠組みにより、宇宙初期のインフレーション、現在の宇宙の加速膨張を司るダークエネルギー、ブラックホールや重力波放出など、宇宙で生じる様々な現象に関する包括的研究が可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者は2021年度に、拡張重力理論の一般的な枠組みである縮退高階スカラーテンソル(DHOST)理論の枠組みにおいて球対称なステルスブラックホール解に関する摂動論を構築し、強結合の問題が普遍的に現れることを明らかにした。2022年度はこの方向の研究を進め、DHOST理論よりも広いクラスであるU-DHOST理論において、同問題が回避可能であることを示した。 また、従来は不可能だと考えられていた、高階微分を含んだ場の可逆変換の構築に成功し、それを用いてDHOST理論およびU-DHOST理論をさらに拡張することに成功した。この新しい理論は、最も一般的な重力理論の枠組みとして包括的研究を可能にするものであり、特に上記のブラックホール摂動に関する研究にも応用が可能である。 以上のことから、本研究課題は現在までおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度および2022年度は、既存の拡張重力理論の一般的な枠組みである縮退高階スカラーテンソル(DHOST)理論およびU-DHOST理論において、ブラックホール解の導出および摂動の解析を行った。一方で研究代表者は2022年度に、スカラー場の高階微分を含んだ可逆な変数変換により、既存のDHOST理論およびU-DHOSTを含みながら更に理論の枠組みを拡張可能であることを示した。本年度は、この最も一般的な拡張重力理論の枠組みに基づき、ブラックホール由来の重力波から重力理論を検証するための理論的基盤を確立することを目指す。より具体的には、ブラックホール解およびそのまわりの摂動が、スカラー場の高階微分を含んだ変数変換の下でどのように変換を受けるかを調べることにより、上記の最も一般的な拡張重力理論の枠組みにおけるブラックホール摂動論を構築する。研究代表者は、既に同様の手法を用いて同理論における宇宙論的摂動論を確立しており、ブラックホールの場合についても系統的に摂動論を構築できる公算が大きい。
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Report
(2 results)
Research Products
(26 results)