昆虫卵移行ペプチドを用いた革新的ゲノム編集技術の開発
Project/Area Number |
22KJ1674
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Project/Area Number (Other) |
21J20658 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 39050:Insect science-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白井 雄 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 昆虫 / ゲノム編集 / 卵巣発達 / Cas9 / CRISPR |
Outline of Research at the Start |
現在の昆虫のゲノム編集は、初期胚へのマイクロインジェクション法に強く依存している。本研究は、成虫へのインジェクションによってゲノム編集を可能にする、革新的な遺伝学的ツールの開発を行い、誰でも・簡単に・あらゆる昆虫でゲノム編集ができる未来を目指す。昆虫が持つ卵黄タンパク質前駆体の断片をCas9に融合することで、体液中に注射したCas9の卵母細胞への取り込みの促進を期待する。これにより、ゲノム編集効率の向上と本法の適用範囲の拡大を図る。また、タンパク質エンジニアリングにより、遺伝子ノックインをはじめとした、より高度なゲノム編集の実現についても計画に含む。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、メス成虫への注射によってゲノム編集を可能にする、革新的な遺伝学的ツールの開発を目指すものである。2022年度は、市販のCas9タンパク質をメス成虫に注射することで、次世代でのゲノム編集を可能にする方法”direct-parental CRISPR" (DIPA-CRISPR法)の開発に尽力した。本法により、ユニークな産卵様式(卵鞘)のために、これまで遺伝子改変が不可能であったゴキブリにおいて、初めてのゲノム編集個体の作出に成功した。変異導入効率も約20%と非常に高く、十分に実用レベルであると言える。また、系統的に離れた甲虫においても、本法を適用させ、条件の最適化を行った結果、約50%の変異導入効率を達成することができた。これは、従来法(卵へのマイクロインジェクション法)に匹敵するレベルである。さらに、甲虫においては、ドナーDNAとして一本鎖DNAを混ぜて注射することで、低効率ではあるが、ノックイン個体の作出にも成功した。以上の結果をまとめて投稿論文として公表した。その後、本法のさらなる汎用性を検証するために、甲虫・ゴキブリとは異なる卵巣形態を示す蚊においても、本法を適用させた結果、ゲノム編集個体の作出に成功した。これらの結果は、DIPA-CRISPR法があらゆる昆虫に利用可能な、強力な遺伝学的ツールとなる可能性を強く示唆する。本法は原理上、昆虫だけでなく、他の節足動物(甲殻類・鋏角類・多足類など)にも適用できる可能性が高い。本法が、幅広い生物に利用され、あらゆる基礎研究・応用研究を強力に推進していくことを期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の、卵移行タグをCas9タンパク質に融合するアイデアとは異なるが、市販のCas9を使用するという、より簡便なゲノム編集法の開発に成功した。また、さまざまな昆虫種で利用可能である汎用性や、ノックインなどの高度なゲノムエンジニアリングにも応用できる可能性を示すことができた。また、現在Cas9の内製化に取り組んでおり、予備的な実験において、市販品と同程度の効率でゲノム編集個体の作出に成功している。以上の理由から「当初の計画以上に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、Cas9の内製化に取り組んでおり、予備的な実験において、市販品と同程度の効率を達成することができている。今後は、当初のアイデア通り、昆虫の卵黄タンパク質前駆体(ビテロジェニン)の断片を卵移行タグとしてCas9タンパク質に融合することで、卵母細胞へのさらなる取り込み効率の促進を図る。また、Cas9エンジニアリングによるノックイン効率の向上についても、並行して進めていく予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(12 results)