琵琶湖における巻貝の殻形態進化:分散能力がもたらす生物多様性創出機構の解明
Project/Area Number |
22KJ1710
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Project/Area Number (Other) |
21J22917 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 45030:Biodiversity and systematics-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤田 直人 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 種多様性 / 適応放散 / 固有種 / 殻形態 / 分散能力 / 集団遺伝構造 / 形態解析 / 系統分類 / 卵胎生 / 幼貝形態 / 遺伝的分化 |
Outline of Research at the Start |
淡水生巻貝のカワニナは卵胎生であり、母親が直接幼貝を産卵するため、移動能力に乏しい。その一方でカワニナが移動できない場所に位置する琵琶湖の離島には、沿岸と同種やその島に固有のカワニナが分布している。本研究はカワニナの幼貝が水面を浮遊して移動する行動に注目し、野外調査や遺伝子的解析、幼貝の行動観察を通じて、「カワニナ属の離島進出は、水面を浮遊して分散する能力が高い中型の幼貝形態によって可能になったという仮説」を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では琵琶湖の離島に生息する卵胎生の淡水貝類であるカワニナ属を対象として、淡水貝類における分散能力と幼貝の殻形態進化および種多様性の関係を明らかにすることを目的としている。 最終年度には、前年度までに明らかにしていた殻形態と分散能力の関係および集団遺伝構造解析の結果に基づいて、野外における幼貝の分散状況の調査と、離島での本属の種多様性の更なる検討を行った。その結果、野外環境において、幼貝の殻形態は浮遊分散の成功率に強く寄与しないものの、浮遊物への付着行動の成功率に影響することで、本属貝類の分散に重要であることが示唆された。また前年度までに未調査であった離島から2種の未記載種が見出された。複数の離島固有種が中型の幼貝形態を有することから、中型の幼貝形態が本属貝類に低い分散能力をもたらしている可能性がある。 本研究では研究期間全体を通して、琵琶湖の離島におけるカワニナ属の高い種多様性を解明し、その多様性をもたらした離島固有種の殻形態と分散能力の関係を調査した。未解明であった本属の種多様性を、ゲノム縮約解析を用いて再評価したことで、4離島から3新種と2未記載種が見出され、5種はいずれも属内で中型からやや大型の幼貝形態を有することが明らかとなった。さらに、屋内および野外での分散行動と殻形態の関係の調査によって、中型の幼貝形態が離島固有種の分散能力を低下させると示唆されたことから、中型の幼貝形態が琵琶湖の離島におけるカワニナ属の種多様性創出に貢献したと推定された。
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Report
(3 results)
Research Products
(16 results)