空間反転対称性の破れが生み出す量子多体現象の探索と解明
Project/Area Number |
22KJ1716
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Project/Area Number (Other) |
21J23007 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 13030:Magnetism, superconductivity and strongly correlated systems-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野垣 康介 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 強相関電子系 / 重い電子系 / トポロジカル超伝導 / 第一原理計算 / 量子臨界現象 |
Outline of Research at the Start |
空間反転対称性の破れによって、電子の運動の自由度とスピンの自由度が結合するが、そうした系において電子相関が生み出す物理は未だ謎に包まれている。また、近年注目を集めている局所的な空間反転対称性の破れは、多くの結晶構造に存在し、奇パリティ多極子秩序を示すことからも大きなパラダイムシフトを生み出す可能性に満ちている。 本研究では、こうした空間反転対称性が破れた系の量子臨界現象に焦点を当て、非自明な新奇量子相や創発応答の探索、解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本課題の目的は、強相関電子系における新奇量子相及び量子臨界現象の解明と探索である。これらの目的は、高精度な数値計算によって達成されるため、その方法論の発展は重要な課題である。量子多体系に対する数値計算法の多くは虚時間空間で定式化され、その計算対象は温度グリーン関数と呼ばれる非物理的対象である。その中から、実験と比較可能な物理量を取り出すためには、数値的な解析接続が必要である。数値解析接続は悪条件の問題であり、その解決のため多くの試みがなされたが、未だ完全な方法は存在しない。近年、グリーン関数がNevanlinna関数と呼ばれる正則関数であることに着目した手法が提案された。しかしながら、その適用範囲はフェルミオン系に限られていた。本年度は、これら数値解析接続法に関する近年の発展に触発され、主として以下の2つの提案を行った。 (1)Nevanlinna法のボゾン系への拡張 (2)Nevanlinna法を実現するオープンソースライブラリの開発 (1)に関して、双曲線関数を用いることで、ボゾン系に双対な補助フェルミオン系を導入し、Nevanlinna法のボゾン系への拡張を達成した。本成果をまとめた論文はJournal of the Physical Society of Japan誌で出版された。 (2)に関して、Nevanlinna法の手続きは、多倍長精度演算や自動微分、非線形数値最適化などを必要とし、その実装は容易でない。従って、Julia言語で記述された高品質なオープンソースライブラリを作製し、広く公開した。本成果については、すでに研究が完成しており、論文として投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、Nevanlinna理論に関する数学的知見を吸収し、、Nevanlinna法をボゾン系へと拡張することに成功した。その過程において、数値解析接続の問題点やその解決に向けた様々な努力に関する知識を身につけたことは本研究員の今後の研究を大きく促進すると考えている。これらの成果はJournal of the Physical Society of Japan誌で出版された。 また、オープンソースライブラリを公開し、当該分野の研究者が容易に使用、改変、拡張できるようにした。これにより、計算物理学のコミュニティに大きく貢献したと考えている。 以上の理由により、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に行っていたCeRh2As2の研究を進展させる。具体的には、Ceのf電子の局在性を取り入れた第一原理計算の結果を再現するような強束縛模型を構築し、量子多体計算を実施する。超伝導多重相図が再現されることを確認し、その超伝導対称性を決定する。また、当該物質では非磁性の秩序相が確認されている。第一原理計算に基づく理論を展開することで、この相の素性を明らかにできると考えられる。 また、輸送係数等を計算することで、局所的な空間反転対称性の破れが量子臨界現象に与える影響について探究する。本年度に構築したNevanlinna法は輸送係数の計算において、重要な役割を果たすと考えられる。
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Report
(2 results)
Research Products
(20 results)
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[Journal Article] sparse-ir: Optimal compression and sparse sampling of many-body propagators2023
Author(s)
Wallerberger Markus、Badr Samuel、Hoshino Shintaro、Huber Sebastian、Kakizawa Fumiya、Koretsune Takashi、Nagai Yuki、Nogaki Kosuke、Nomoto Takuya、Mori Hitoshi、Otsuki Junya、Ozaki Soshun、Plaikner Thomas、Sakurai Rihito、Vogel Constanze、Witt Niklas、Yoshimi Kazuyoshi、Shinaoka Hiroshi
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Journal Title
SoftwareX
Volume: 21
Pages: 101266-101266
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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