Project/Area Number |
22KJ1727
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Project/Area Number (Other) |
21J23155 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 38010:Plant nutrition and soil science-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 陽菜子 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | ダイズ / イソフラボン / 根圏 / β-グルコシダーゼ / 輸送体 / 分泌 / 植物微生物相互作用 / 根粒菌 / マイクロバイオーム / VOCs |
Outline of Research at the Start |
根圏とは「植物根から影響を受ける土壌領域」のことであり、根圏に生息する微生物は、植物の養分吸収促進、ストレス耐性向上などに寄与することが知られている。植物は根圏に代謝物を分泌することで、生存に好ましい微生物叢を形成すると考えられている。ダイズ根から分泌されるイソフラボンは、30年以上前から根粒菌との共生シグナルであることが知られていたが、2020年には根圏微生物叢形成を制御することが示された。しかし、その微生物叢形成のプロセスは十分に明らかにされていない。本研究では、代謝物間の相互作用に着目してイソフラボンを介したダイズ根圏微生物叢形成プロセスを明らかにすることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
植物根圏において植物の特化代謝産物(Plant, specialized metabolites, PSM)は重要な役割を担うが、植物の細胞内で生合成されたPSMの「根から土壌への分泌」、「土壌中での動態」、「微生物叢への影響」の一連の過程については、その実態に未解明な部分が多かった。本研究は、ダイズが生産するPSMであるイソフラボン類を中心に、ダイズ根圏に存在するその他の代謝産物にも着目し、ダイズ根圏微生物叢形成の過程の詳細を明らかにすることを目的として研究を行った。本研究の主な成果は以下の通りである。 1.ダイズ根のアポプラストに局在してイソフラボン配糖体を加水分解するβ-グルコシダーゼのICHGが、根アポプラストのイソフラボン量および組成を変化させることを、ichg変異体の表現型解析により示した。圃場試験においては、ダイズ根圏土壌のイソフラボン量がichgの変異により減少すること、またICHGが根圏へのイソフラボン分泌に寄与することを明らかにした。 2.分子系統解析と遺伝子発現解析により、2つの輸送体遺伝子が、根外へのイソフラボン分泌に関与する輸送体遺伝子候補として有力であることを示した。タバコBY-2細胞を用いてイソフラボン輸送体候補の発現ラインを作出し、主要なイソフラボンアグリコンの1つであるゲニステインの輸送解析手法を確立した。 以上のように、本研究では、生化学、分子生物学、情報科学的解析を通して、ダイズ根圏で重要な生理的役割を果たしているイソフラボン類が根圏へもたらされ、微生物叢に影響を与えるまでの過程の一端を解明した。本研究成果は、植物代謝生化学、植物分子生物学、および植物微生物相互作用研究の発展に寄与するところが大きいと言える。
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