Project/Area Number |
22KJ1734
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Project/Area Number (Other) |
21J23196 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 10040:Experimental psychology-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
澤田 和輝 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 2021: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 畏敬 / 自己認知 / 創造性 / 好奇心 / 芸術鑑賞 / インスピレーション / 縦断調査 / 自己超越 / 人生の意味 / 人生満足感 |
Outline of Research at the Start |
大自然の絶景や芸術作品のような,既存の認知的枠組みの更新を必要とする広大な刺激に対する感情反応は「畏敬」と呼ばれ,近年心理学を中心に注目を集める重要な研究テーマの一つである.これまでに,畏敬は自己をよりちっぽけな存在であるように知覚させる等,自己認知を変容させることにより,向社会的行動の促進や幸福感の向上をもたらすことが示されてきたが,畏敬に関わる自己認知の変容過程には不明点が多く残る.本研究では,自己認知の変容が脳と遺伝子との相互作用により生ずることを念頭に,自己の多面性に着目することで,畏敬が自己認知に及ぼす影響を心理・神経・生理学的観点から包括的に検討する.
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Outline of Annual Research Achievements |
主には以下の二件の研究成果を得た. 1.大自然の絶景や芸術作品のように,広大かつ既存の枠組みで捉えることが困難な刺激に対して生じる感情反応は「畏敬」と呼ばれており,近年心理学を中心に注目を集める重要な研究テーマの一つである.畏敬が創造的自己認知に及ぼす影響を解明するため,本年度も昨年度から継続して縦断調査を実施した.調査では,3時点を通して4ヶ月間隔で304名の人々(18歳から30歳)が,日常生活で畏敬を感じる頻度(項目例:“私はよく畏敬の念を感じる”,“私は自然の美しさを見る機会が多い”),知的好奇心(項目例:“はっきり明快な答えが出るまでずっと考える”,“物事を学ぶ時には,徹底的に調べたい”),創造的自己(項目例:“私は,自分のことを創造的だと思う”,“私は自分の創造的な能力に自信がある”)を測定する質問項目に回答した.ランダム切片交差遅れモデルを用いて,各変数の個人内関係を分析したところ,ある時点の畏敬の念を感じる頻度が次の時点の自分が創造的である自信を正に予測することが示された.本研究の結果は,創造性の観点から畏敬経験における自己認知の変容の理解に寄与するとともに,個人内変化の観点から畏敬の念が創造的自己効力感を高めうることを新たに示す. 2.畏敬と創造性に関連して,芸術鑑賞による畏敬の念と創造的活動に対する動機づけである「インスピレーション」の関連を検討する実験室実験を実施した.実験では,大学生32名が,絵画を鑑賞した後にその絵画の創造的短編を執筆し,執筆中にインスピレーションを感じた程度や鑑賞中に畏敬を感じた程度や自己評定した.その結果,畏敬の念を感じる人々ほど,インスピレーションを感じやすいことが示された.本研究の結果は,動機づけの観点から畏敬の念が創造性を促進する心理過程の解明に寄与すると考えられる.これらの研究成果をまとめた論文がJournal of Creativity誌に掲載された.
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