Project/Area Number |
22KJ1742
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Project/Area Number (Other) |
21J23227 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 90030:Cognitive science-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大西 絵奈 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | チンパンジー / 伝染 / 同期 / 排尿 / 集団 / 行動伝染 / 集団行動 |
Outline of Research at the Start |
本研究はヒトに最も近い種の一つであるチンパンジーにおける「排尿の同期」に着目したものである。「行動の伝染」とよばれる、近くにいる個体と同じ行動をとる・状態を一致させるという相互作用は、ヒトを含む多くの生物に普遍的に存在する現象である。このような現象の理解は、群集心理や集団生活、効率的な情報伝達などと関連し、“なにが、いつ、だれからだれへ伝染するのか”という伝染パターンと社会構造の関連に関する知見は、ヒトの複雑な社会がどのように形成・維持されるかという議論に寄与すると考えられる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、飼育下のチンパンジーの排尿行動を詳細に記録し、排尿が同期しているか、伝染しているか、伝染にパターンはあるかという点を重点的に調べた。本研究により得られた結果は、排尿という日常的な行動の社会的側面の可能性を新たに示唆するものであった。チンパンジーの排尿の詳細な観察はこれまでになく、また集団レベルで観測することにより、チンパンジーの排尿が集団内で同期しているだけでなく、近くの個体へ伝染していることが明らかとなった。さらに、伝染パターンに着目すると、社会的ランクの低い個体ほど周囲の個体の排尿に続いて排尿する傾向にあった。これらの結果は、チンパンジーにおける排尿の社会的側面の可能性を示している。なぜ排尿が伝染するのか、どのように伝染するのか、など、本研究の結果により様々な疑問が新たに生まれ、その追求には行動学のみならず、内分泌学や心理学など、多面的なアプローチが必要であると考えられる。 本研究の結果は、International Society for Behavioral Ecology CongressやInternational Symposium on Primatology and Wildlife Scienceなどの学会で発表し、分野内外の研究者との議論を深めた。 また論文を現在投稿準備中であり、将来的には種間比較や社会的構成の異なる別集団を対象とした研究、そして野生下での研究などの発展可能性があり、異なる分野からのアプローチを含め、今後のさらなる調査が望まれる。
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