Project/Area Number |
22KJ1766
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Project/Area Number (Other) |
22J00064 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 15020:Experimental studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池田 智法 京都大学, 理学研究科, 研究員
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | ガス検出器 / コンプトンカメラ / MeVガンマ線 / 宇宙MeVガンマ線 / ETCC / 光検出器 |
Outline of Research at the Start |
暗黒物質の正体の解明は宇宙・素粒子物理学における最も重要な課題の一つである。本研究の究極の目的は、暗黒物質候補の一つである、原始ブラックホールを宇宙MeVガンマ線をプローブとして発見することである。MeVガンマ線を放出する原始ブラックホールの質量は10の16乗g程度に相当し、このホーキング放射を捉えることができれば、量子重力理論の検証とDMの解明までもが一度に達成できる。そのため、本研究では超高感度な電子飛跡検出型コンプトンカメラ(ETCC)を開発する。これを用いて、NASAの約1ヶ月間の浮遊飛行が可能なスーパープレッシャー気球によって宇宙MeVガンマ線観測を行い、目的を達成する。
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Outline of Annual Research Achievements |
宇宙MeVガンマ線の観測は、宇宙の元素起源と暗黒物質の両方にアクセス可能な重要な観測領域である。特に、宇宙初期に生成されると考えられている原始ブラックホールは、ホーキング放射によってMeV ガンマ線を放射する可能性があり、宇宙MeVガンマ線の中に混入している点も非常に興味深い。しかしながら、宇宙ではMeVガンマ線帯域に非常に多くの背景事象が存在し、従来型のコンプトンカメラはこれを除去する能力をほとんど備えていなかった。本研究ではこの問題を解決するため、コンプトン散乱事象の全ての物理量を取得することができる次世代の電子飛跡検出型コンプトンカメラ(ETCC)を開発する。また、これによって約1ヶ月間の気球実験を行い、世界最高感度での宇宙MeVガンマ線観測を行うことが最大の目標である。 本年度は、次期気球実験の大型ガス飛跡検出器に使用される高抵抗膜の制作を行った。高抵抗膜は薄い炭素成膜のスパッタリングで制作した。一様度を保証するためサンプルを作成し、複数の位置でシート抵抗を測定したところ、30cm角で十分な一様度を確認できた。この結果を元に、本番用の高抵抗膜を制作した。また、次期気球実験の背景事象の見積もりのために、2018年のETCCで取得された気球実験データを解析し、背景事象をGeant4シミュレーションを用いて定量的に見積もった。背景事象は、大気ガンマ線、宇宙線と気球を構成する物質が反応して放出されたガンマ線、さらに検出器内部の放射線で再現できることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
宇宙MeVガンマ線帯域は背景事象が非常に多く、天体からの信号を捉えることは非常に難しい。そのため、検出器の背景事象が何であるかを見積もることは非常に重要である。今年度、2018年の気球実験データを用いて、ETCC検出器での背景事象を詳細に調べることができた。また、支配的な背景事象を突き止めることにも成功した。この知見は将来のMeVガンマ線望遠鏡を設計で非常に重要である。この結果から、今後の検出器開発について、指針を細かく決定することができるようになったため、今年度の研究は順調に進展したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度の気球実験データを解析し、その背景事象を正確に見積もることができた。その結果、銀河中心領域からのガンマ線放射を精度よく決定できるようになった。従来の解析では見積もりが甘かっため、困難であったが、スペクトル解析ができる可能性がため、この解析を進めていく。これによって、ETCC検出器のガンマ線の信号検出能力を示し、次期気球実験を確実なものにする。予定していた気球実験は、時期が先送りになったが、引き続き気球実験のためのETCC検出器の制作を行なっていく。
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