時空の幾何から探るブラックホールの情報問題と量子重力理論のメカニズム
Project/Area Number |
22KJ1774
|
Project/Area Number (Other) |
22J00663 (2022)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
後藤 郁夏人 (2023) 京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(CPD)
|
Research Fellow |
後藤 郁夏人 (2022) 京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2027-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥5,200,000 (Direct Cost: ¥4,000,000、Indirect Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2026: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2025: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
|
Keywords | 量子重力 / ホログラフィー / ブラックホール / ホログラフィー原理 |
Outline of Research at the Start |
現代物理学の最大の課題である宇宙の起源の解明には一般相対論と量子論を融合した量子重力の理解が不可欠である。これらの理論を現在の理解のまま組み合わせると、ブラックホールの情報問題と呼ばれる矛盾が生じてしまうことが知られている。 本研究ではまずこのブラックホールの情報問題の解消を一般相対論で中心的役割を果たす時空の幾何の観点から解明する。さらにホログラフィー原理を用いて、時空の幾何が量子論の自由度から如何に創発するか明らかにし、 ブラックホールの情報回復を時空の幾何に頼らず量子重力の基礎メカニズムとして理解する。最終的にそこで得られた量子重力の理解を通し、宇宙の起源の理解に挑む。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はブラックホールの情報回復メカニズム及び量子重力における時空創発メカニズムを 解析することで一般相対論と量子論を整合的に融合する量子重力の仕組みを明らかにすることである。本年度はホログラフィー原理における時空の創発を量子情報の立場から解析した。量子情報による研究では、相互情報量を用いてブラックホールの量子ダイナミクスを研究した。ホログラフィー原理のもと、ブラックホールの存在する時空に空間的不均質でダイナミックな変形が生じる状況を考え、相互情報量を用いてその量子情報論的性質、ブラックホール時空構造の時間的変化を解析した。特に本研究で解析した特定の種類の空間的不均質な時空変形の場合には、時空の特殊なダイナミクスによって、一度、量子情報のスクランブリング効果によって相互情報が完全に破壊された後に、最初に有していた量子もつれ状態が再び回復し、量子情報のスクランブリングが抑えられることが見出された(PhysRevB.109.054301)。これは通常の熱的状態にあるブラックホールでは見られない新たな量子ダイナミクスである。このダイナミクスをさらにイジングスピン鎖を用いて詳細に解析し、変調エネルギー密度が小さい空間領域で量子情報の拡散が抑えられる一方、変調エネルギー密度が大きい領域では量子情報のスクランブルが加速されることを見出した(Phys.Rev.Res. 6 (2024) 2, 023001)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ホログラフィー原理における時空の創発を空間的不均質な時空変形を行った場合に量子情報の立場から解析した。このような場合、時空の特殊なダイナミクスによって、一度、量子情報のスクランブリング効果によって相互情報が完全に破壊された後に、最初に有していた量子もつれ状態が再び回復し、量子情報のスクランブリングが抑えられる新たな現象が見出された。このことは当初計画していた以上の研究の進展である。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度はブラックホール蒸発の簡単なモデルとして空間的不均質な時空変形をブラックホールに施した状況を考えた。今後はブラックホールの蒸発が実際に起こる状況下で、そのダイナミクスや量子情報のスクランブリング、また蒸発に伴う量子情報の回復機構を解析する。
|
Report
(2 results)
Research Products
(13 results)