Project/Area Number |
22KJ1796
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Project/Area Number (Other) |
22J10278 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 01060:History of arts-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
冨岡 采花 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 運慶 / 興福寺 / 東大寺 / 南都再興造営 / 慶派仏師 / 南都仏教 / 南都焼討 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、南都の思想や願主との関係、工房制作の様相といった包括的な観点から、鎌倉時代彫刻の大成者とされる仏師・運慶の仏像制作の実態を明らかにすることによって、未だ十全に説明されていない運慶の作風変遷の解釈に、新たな糸口を設けることを目的とする。具体的には、運慶との関わりが想定される平安時代末期から鎌倉時代初期にかけての南都仏教界の思想、当代における工房制作の様相、そして湛慶を始めとした次世代作品に看取される運慶作品の影響といった観点から運慶作品を分析することにより、中世の価値観に基づいた実証的な作風解釈の構築を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、鎌倉時代彫刻の大成者とされる仏師運慶による仏像制作の実態解明、および実証的な作風解釈の構築を目指すものである。前年度の研究成果をもとに、本年度は治承兵火に伴う再興造像に焦点を当て、その最初期の事例である興福寺西金堂釈迦如来像と運慶一門の事績上一画期をなした東大寺大仏殿四天王像について検討を行った。興福寺西金堂像については、現存する木造仏頭および光背附属と思しき化仏・飛天像について、前年度の課題であった実地調査を行い、制作当初の姿の復元を試みた。その上で、従来指摘されてこなかった飛天光背としての位置付けを検討すると共に、その表現契機について西金堂縁起の変遷に着目して考察し、その成果を京都大学文学部美学美術史学専修の研究集会(「興福寺木造仏頭・化仏・飛天をめぐる一考察─縁起の変遷に着目して─」2024年3月)で発表した。東大寺大仏殿四天王像については、大仏殿創建当初に安置された像から運慶による再興像にいたるまで基本的形式における変更はなかったと従来指摘されてきた像容について、持国天像の右手持物が三鈷杵へと、多聞天像の面貌が特殊な開口表現へと改変された可能性を新たに指摘した。そしてこれらが正法の護持の表象であり、仏法の護持という南都復興の理念と通じることを指摘し、第76回美術史学会全国大会(「建久再興東大寺大仏殿四天王立像の像容と役割をめぐる一考察─多聞天像の開口表現に着目して─」2023年5月)で発表した。研究期間全体を通じて、とりわけ南都仏教界の思想との関わりから新たな作品解釈を構築できたことは重要な成果といえる。
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