メチル基転移酵素METTL16による三重鎖構造を形成するRNAの認識機構の解明
Project/Area Number |
22KJ1805
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Project/Area Number (Other) |
22J11061 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 43040:Biophysics-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
阪本 知樹 京都大学, エネルギー科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 三重鎖構造 / 分子込み合い環境 / 構造ダイナミクス / 緩和分散法 / NMR法 |
Outline of Research at the Start |
長鎖ノンコーディングRNAであるMALAT1の3'末端において形成している三重鎖構造(MALAT1-tri)とメチル基転移酵素 METTL16は相互作用することが報告されている。これらの相互作用は細胞のがん化に関連していることが指摘されているにも関わらず、相互作用の強さ・認識部位・認識機構・認識時の構造変化といった基本的な情報すら明らかではない。本研究の目的は、MALAT1-triとMETTL16 の相互作用メカニズムを明らかにすることである。まず、試験管内での相互作用メカニズムを明らかにする。次に、in-cell NMR法を用い、生きた細胞内における真の相互作用メカニズムを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、RNA三重鎖構造とメチル基転移酵素METTL16の細胞内における分子認識の機構を解明することである。核酸の関与する分子認識には、マイクロ秒からミリ秒のタイムスケールの一塩基対レベルの局所的な構造のダイナミクスが重要であることが報告されている。核酸の塩基対の開閉ダイナミクスはこのタイムスケールのダイナミクスを有していることが知られており、R1ρ緩和分散測定は、核酸の塩基対の開閉ダイナミクスを解析するために用いられる手法である。現在、RNA三重鎖構造の塩基対の開閉ダイナミクスの解析基盤としてDNA三重鎖構造を形成するDNAを用いて種々の解析を行っている。また、NMRでの解析に加えて伝統的に用いられてきたUVを用いた構造の融解温度(Tm)の解析も行っている。これらの解析を、細胞内のような分子込み合い環境を再現するために分子込み合い試薬を添加した溶液系で行い、添加していない系で得られた結果との比較を行った。分子込み合い試薬として頻繁に用いられるPEG 200を用いた溶液系で、従来のUVのみを用いた三重鎖構造全体の安定性の解析では得られなった塩基対分解能での開閉ダイナミクスの解析に成功した。その結果、PEG 200の三重鎖構造に対する影響は、鎖全体で一貫しておらず、残基の種類や位置によって複雑に影響を受けていることが示唆された。これは、生細胞内における三重鎖構造に関連した生命現象について、分子込み合い環境と希薄溶液環境では異なる可能性があることを示唆する結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はDNA三重鎖構造の種々のNMR測定法及び解析法の確立に注力しており、当初の研究目標であるRNA三重鎖構造の解析にまで至ることは出来なかった。しかし、研究実績の概要に記載の通り、DNA三重鎖構造の塩基対のダイナミクスが分子込み合い環境下と希薄溶液環境下において異なることを緩和分散法や種々のNMR測定及び熱力学的測定から見出した。これらの確立した測定手法は、RNA三重鎖構造においても適応可能である。RNA三重鎖構造を形成するRNA分子はin vitro転写系を用いて目的分子が生成していることを確認しており、精製を行った後に確立した測定系によって解析を行えば次年度は遅れを取り戻せると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画から大きな計画の変更はなく、RNA三重鎖構造を形成するMALAT1の調整と相互作用が報告されているメチル基転移酵素METTL16を調製し、NMRを用いて相互作用の解析を行う。また、研究の核心となる細胞内環境中における相互作用の解析については、本年度に確立した分子込み合い環境を模倣する試薬を用いたin vitroの系及び2021年度に報告(Chem. Commun., 57, 6364-6367)したDNA三重鎖構造のヒト生細胞内での構造の解析に用いたin-cell NMR法を用いて行う。
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Report
(1 results)
Research Products
(16 results)