面性不斉を有する環状ホスト分子による集合体構築とその機能開拓
Project/Area Number |
22KJ1898
|
Project/Area Number (Other) |
22J15357 (2022)
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 33010:Structural organic chemistry and physical organic chemistry-related
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
和田 圭介 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
|
Keywords | ピラー[5]アレーン / 面性不斉 / 動的不斉 / 結晶化 / エキサイプレックス / 分子認識 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、環状分子ピラー[5]アレーンの特性である面性不斉及び、機能化のしやすさに着目し、分子が作るナノ空間の活用に取り組んでいる。本期間中では特に面性不斉の集合体構築を如何に機能性の材料に応用できるかの研究に展開していきたい。面性不斉を片方に偏らせたピラー[5]アレーン結晶を用いた、キラルゲスト分子の認識とキラル分割を試みる。ピラー[5]アレーン結晶はゲスト分子の取り込みと同時に結晶構造を変化させるので、結晶全体の安定性でキラルゲストのS体R体での取り込みやすさが異なると予想される。この系は一般的な1対1の相互作用と区別され、結晶の系全体で議論が可能である。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、環状分子ピラー[5]アレーンの特性である面性不斉及び、機能化の簡便さに着目し、分子が作るナノ空間の活用に取り組んでいる。前者に関して、ピラー[5]アレーンの動的な面性不斉は側鎖に不斉炭素を導入することでジアステレオマーの関係を形成する。得られたジアステレオマーはゲスト溶媒分子により片方の面性不斉の誘起が可能であった。ゲスト溶媒で片方の面性不斉を誘起した後、嵩高い置換基を導入することで動的な面性不斉を静的な面性不斉に変換する事が可能であった。これにより、今までは困難であった動的な面性不斉の制御後の不斉情報の保存が可能になった。さらに、溶液状態での面性不斉固定に加えて、結晶化のプロセスを用いることで偏りをほぼ100%近い状態で固定する事にも成功した。 また、ピラー[5]アレーンの機能化に注目し共役系分子の導入による発光材料の開拓も行った。ピラーアレーンの1つのユニットにカップリング反応を行うことで、共役系ユニットを含むピラー[5]アレーンを合成した。蛍光測定により、蛍光スペクトル中に二つのピークを有するDual Emissionを示す事が明らかとなった。さらにこの二つの発光ピークに対して得られた励起スペクトルが一致したことから、二つの発光は同じ基底状態に由来しており励起状態において構造緩和があったと考えられる。また、溶媒極性を変化させた蛍光測定及び、Lippert-Mataga Plotsの結果から、局所的な励起による蛍光 (LE蛍光) と電荷移動蛍光によるエキサイプレックス蛍光 (Ex蛍光) の2成分に帰属することができた。ゲスト分子を滴下すると、Ex蛍光の減少とLE蛍光の増加が観測された。これはゲスト分子が共役系分子の立体構造を制限したためであると考えられる。 さらに、同様の骨格を有する高分子量体PA-Polymerの合成にも成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は主にピラー[5]アレーンの面性不斉と集合体の化学を用いた機能開拓を目的としている。前者に対してはピラー[5]アレーンの動的な面性不斉のゲスト認識によるスイッチングとその固定化に成功しており、概ね研究計画の主題に沿って進行できていると考えている。さらに、結晶化による集合体の形成の利用により、高度に偏りを持った面性不斉を有するキラル空間を創出することが出来ている。また、キラル空間の機能開拓の準備段階として、共役系分子を導入したピラー[5]アレーンの単分子状態での発光特性を調査した。ピラー[5]アレーンの内部空孔でのスルースペースでの相互作用に由来する発光を観測する事ができた。また、環状構造に由来し、ゲスト分子に応答した発光性を示す事が既に分かっており、即座にキラル空間を組み込んだ機能開拓への展開に移る準備が出来ている。このことからおおむね順調に研究計画が進行していると判断している。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在までに、ピラー[5]アレーンの面性不斉を結晶化などの集合体構築により高度に偏らせることに成功したことに加えて、共役系分子に導入により発光材料の構築にも成功した。今後は、この面性不斉の集合体構築を如何に機能性の材料に応用できるかの研究に展開していきたい。初めに、面性不斉が固定されたピラー[5]アレーンに発光部位を導入しその後、超分子ポリマーを形成させることで溶液中での発光特性を評価する。単分子での先行研究によりゲスト分子に応答した発光変化を示す事が期待される。また、インターロック分子であるロタキサンへの密な面性不斉の導入を試みる。先に示した、結晶化による面性不斉の高度な偏りを両末端に反応活性部位を有する軸分子共存下において行うことで、キラリティーを有する擬ロタキサン結晶を作成する。ここに、固相反応により末端を嵩高いストッパーで反応させることにより、ロタキサンを面性不斉の偏った状態で形成する予定である。また面性不斉を片方に偏らせたピラー[5]アレーン結晶を用いた、キラルゲスト分子の認識とキラル分割を試みる。ピラー[5]アレーン結晶はゲスト分子の取り込みと同時に結晶構造を変化させるので、結晶全体の安定性でキラルゲストのS体R体での取り込みやすさが異なると予想される。この系は一般的な1対1の相互作用と区別され、結晶の系全体で議論が可能な新たな認識方法であり、環状分子のキラル集合体の化学を発展させると期待している。
|
Report
(1 results)
Research Products
(9 results)