Project/Area Number |
22KJ1973
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Project/Area Number (Other) |
22J22100 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 38050:Food sciences-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西田 朱里 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ケトン体 / GPR109A / 低炭水化物高脂肪食(ケトン食) |
Outline of Research at the Start |
低炭水化物食や医療現場で用いられるケトン食療法は、種々のエネルギー代謝疾患の改善に有効であることが報告されている。しかしながら生体側のケトン体認識機構及び、ケトン体によるエネルギー代謝調節の詳細な分子機序は明らかにされていない。そこで本研究ではケトン体受容体の生理的意義に着目し、ケトン体-GPCRsシグナルを介した新規エネルギー代謝調節機構を解明する。本研究にて得られた成果は、ケトン体受容体を標的とした代謝性疾患の治療薬の開発や、ケトン体を基軸とした食事療法へ向けた基礎的知見の獲得に資すると考えられる。
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Outline of Annual Research Achievements |
ケトン体は飢餓時にエネルギー源として働くだけでなく、シグナル伝達物質として、細胞膜受容体を介した代謝調節に寄与する。本研究では、ケトン体-GPCRsシグナルに着目し、ケトン体による代謝改善効果の分子機序を明らかにするため、遺伝子改変マウスを用いた検討を行った。初めに、ケトン体のうちβヒドロキシ酪酸をリガンドとするGPR109Aについて発現解析を行った結果、白色・褐色の脂肪組織に加えて、下垂体や副腎での高発現が認められたことから、GPR109Aが脂肪分解の調節に関与することに加え、代謝関連ホルモンの分泌制御に寄与する可能性が示唆されている。そこでケトン体を介した代謝調節機構の一端を明らかにするべく、野生型マウスとGpr109a遺伝子欠損マウスへのケトン食負荷試験を行った。その結果βヒドロキシ酪酸がGPR109Aを介して、過度な脂肪分解の抑制、それに伴う脂肪肝の抑制に寄与する可能性が示唆された。 加えて、食事誘導性のケトジェニック環境であるケトン食負荷試験だけでなく、生理的にケトン体産生が促される条件に着目することで、ケトン体受容体の生理的意義を検討することとした。なかでもマウスの乳児期における血中ケトン体濃度を測定したところ、ケトン体受容体を活性化するのに十分なケトン体の存在が確認され、当該時期においてケトン体受容体が重要な役割を果たす可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は研究計画に基づき、Gpr109a遺伝子改変マウスに対するケトン食負荷試験を行い、脂肪組織・肝臓を介した脂質パラメータの変動、褐色脂肪組織を介した体温変動を評価した。その結果、GPR109Aがケトジェニック環境下において過剰な脂肪分解を抑制する可能性が示唆されている。また当初の研究計画に加えて、ケトン体が生理的なリガンドとなり得る条件を独自に検討し、乳児期の血中ケトン体濃度がGPCRを十分に活性化することを見出したことに加え、新たにケトジェニック環境の検討として、絶食試験・STZ誘導Ⅰ型糖尿病モデル・ケトン体前駆体負荷試験・中鎖脂肪酸食負荷試験の実施を行い、次年度の研究活動に向けた条件検討を実施した。 加えて今年度は、新たなGPCRのリガンドスクリーニング系を導入したほか、自身の研究を進めていく過程で習得した腸管の解析技術を駆使することで、脂肪酸やその代謝物がGPCRを介して宿主に及ぼす影響を検討し、共著者として3報の学術論文を発表した。これらの研究成果は、生理的な状態において、脂肪酸がGPCRを介して代謝調節を行う新たな作用機序を見出したものであることから、エネルギー代謝制御におけるケトン体の作用機序解明を目的とした本研究課題に関連付けることができる。 以上より申請当初予定していた進捗予想と比較し、本年度の研究はおおむね順調に進行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
ケトン体受容体であるGPR109Aについて、ナイアシン-GPR109Aシグナルによる薬理作用は既知なものの、ケトン体をリガンドとする代謝調節機構については未解明である。今年度は、食事誘導性のケトジェニック環境下、GPR109Aが過剰な脂肪分解を抑制する可能性が示唆されたため、次年度も本表現型について詳細な検討を行う。具体的には、Gpr109a遺伝子欠損により確認された表現型の責任臓器を特定することを目的とし、脂肪組織・下垂体・副腎などの遺伝子発現解析に加え、アディポカインを含む各種ホルモン測定を行う。さらに同じくケトン体受容体であるGpr41が Gpr109aを介した表現型へ関与する可能性を考え、Gpr41遺伝子欠損マウスおよびGpr109a/Gpr41二重遺伝子欠損マウスへのケトン食負荷試験を進め、一遺伝子に留まらないケトン体の作用機序解明を目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(10 results)