新旧ジェンダー観の対立構造に関する文化社会学的研究―近現代歌壇を事例として―
Project/Area Number |
22KJ1975
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Project/Area Number (Other) |
22J22188 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 80030:Gender studies-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 康介 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2023: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2022: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 短歌 / 性差 / 言語 / ジェンダー |
Outline of Research at the Start |
近代以降の日本におけるジェンダー言説が、いかに新旧価値観の対立をめぐるポリティクスによって生産され、またそのポリティクスを再生産してきたかの解明を文化社会学的観点から試みる。「男らしさ」-「女らしさ」と「新しさ」-「古さ」との二軸の二分法を分析するうえで、本研究では日本の伝統的定型詩である短歌や、ジェンダーに関連した標語などの「短いことば」の意味生成プロセスに着目する。新旧ジェンダー観の動態を批判的に再記述することは、ジェンダー平等社会の構想に資する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は文芸の一ジャンルである短歌の、とくに批評がどのようなジェンダー観を前提としているのかを問題とするものである。短歌総合誌に掲載されている講評記事や女性歌人の創作する歌に関して言及した記事を図書館等で収集し、分析を進めてきた。収集した文献の電子データ化を行い、現在はそれらの形式面・内容面からの分類に取り組んでいる。また文献調査に加え、実作者を対象としたインタビュー調査についても開始した。 〈女歌〉という概念の操作的な使用のされ方に着目し、ポジショナリティとしての論者のジェンダーが影響していることを明らかにした成果を、2023年7月に開催された日本語ジェンダー学会大会で報告した。研究上の助言を受け、女性性と女性文学との関係性にまつわる問題にアプローチするための手がかりを得ることができた。女性作品に「女性的」な特徴を見出すという行為は単に歌を評価するにとどまらず、ジェンダー規範を再生産しつつ女性歌人のあるべきふるまい方を規定する、あるいは〈女歌〉を既存の歌壇に対抗しうる連帯のシンボルとして立ち上げるなど政治的な効果を有している。この分析に関しては、前述した資料の分類整理を経て対象とすべき資料の範囲が拡大したため、論文化に向けて確認を進める。 加えて本年度は、文芸におけるフェミニズム批評やミューズ論の知見を精査した。本研究の問題意識を先行する研究と接続することを意識し、今後の検討に活用したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料を収集するとともに分析を進め、また前年度には行えていなかった研究成果の発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
文芸における性差のイメージの両義性、すなわち(文芸の創作・批評に参画する当事者にとって)肯定的であるか否定的であるかの両側面を記述するための枠組みを考察することが課題である。インタビュー調査から得られるデータを取り入れることで知見を深めたい。 研究計画に関わるところでは、問題設定から結論までの一貫した形での論文等による成果の発表が未だ行えていないため、これまでの研究をもとにアウトプットを行っていく予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)