Project/Area Number |
22KJ1983
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Project/Area Number (Other) |
22J22463 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 40040:Aquatic life science-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮崎 うらら 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 古細菌 / 深海底熱水域 / 糖鎖 / 深海底熱水活動域 |
Outline of Research at the Start |
古細菌は、生物の主要な三大系統の1つであり、様々な極限環境にすむ。その細胞表層はSレイヤーと呼ばれる糖タンパク質に覆われている。近年、Sレイヤーこそが古細菌の極限環境への適応を可能とする「ヨロイ」であることがわかってきた。さらに、Sレイヤーはナノ構造材料としても注目されてきている。 本研究は、独自の超好熱深海古細菌を対象に、Sレイヤーによる高温高圧への適応機構を包括的に理解し、ナノバイオテクノロジー分野における応用可能性を評価することを目的とする。目的達成のため、(1)大量培養、(2)Sレイヤータンパク質構造解析、(3)Sレイヤー糖鎖構造解析、(4)応用可能性の評価を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、細胞表層を覆うSレイヤーと呼ばれる独自の糖タンパク質による、超好熱深海古細菌の極限環境適応機構を分子レベルで理解し、応用可能性を評価することである。二年目となる本年は、対象となる独自の微生物株の糖鎖構造解析を行なった。 本研究で対象とする超好熱深海古細菌は、培養難度の高さと細胞密度の低さが特徴である。本年度は初めに、昨年度に開発した独自の大型培養装置を用いて、本微生物の様々な条件での大量培養を試みた。しかし培養の不安定性ゆえに失敗が相次いだため、植え継ぎ時の培地温度や培養開始後の攪拌等、培養手順の検討を重ねた。最終的に6つの条件で十分な量の菌体を確保することができ、これらを対象として超高解像度質量分析を利用したグライコプロテオーム解析を行なった。結果として当該古細菌が、既知の古細菌に類似するが独自の糖鎖構造を持つことが示唆された。次年度は引き続き比較グライコプロテオーム解析を進め、異なる培養条件における糖鎖構造の変化を調べる予定である。 また、本研究で対象とする古細菌は申請者が独自に分離したものであり、遺伝的新規性の高い新種であると示唆されていた。本株およびその近縁株の生理生化学的な性状は、細胞表層構造解析における基盤的知見となるものであり、その解明が急務であった。本年度は当該古細菌について、新種として報告するのに必要となる全項目の性状分析を完了した。その結果を国際誌にて報告し、本微生物はPyrodictiaceae科に属する新属新種であると認められた。 本年度の研究に関連する成果の一部は国際誌で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、対象となる微生物株の糖鎖構造解析のため、昨年度に開発した独自の大型培養装置を用いた大量培養を行なった。対象微生物は培養難度の高さで知られている。大量培養を試みたところ、十分な細胞密度まで増殖しない培養が相次いだ。この不安定性の解消のため、植え継ぎ時の培地温度や培養開始後の攪拌等、培養手順の検討を重ねるのに時間を要した。その結果、当初の計画通りに研究を進めることが困難になった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は培養手順の最適化を進め、最終的に6条件での大量培養に成功し、それらのグライコプロテオーム解析を行なった。次年度も引き続き、様々な条件での大量培養と比較グライコプロテオーム解析を行う。また、糖鎖の切り出し・精製手法の検討と単糖解析も並行して進める。これらを通して対象微生物の極限環境適応機構における細胞表層構造の役割の解明を目指す。
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