Project/Area Number |
22KJ2021
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Project/Area Number (Other) |
22J23786 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 03020:Japanese history-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
新林 力哉 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,100,000 (Direct Cost: ¥3,100,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 神祇 / 祭祀 / 国司 / 天皇 / 神戸 / 神階 / 唐 |
Outline of Research at the Start |
古代社会では祈雨など政治的・社会的に意味のある祭祀を為政者が行うことが重要である。本研究は、日本古代における天皇がどのような構造で地方の神々を祭っていたかを検討し、古代天皇が持つ祭祀執行者としての性格を明らかにするものである。特に地方神祭祀の究明を重視するのは、各地域の共同体を支配下に置く天皇がその神をどのように祭るかが国家としての特性を表すという考えからである。また地方神祭祀を研究するため国司や地方豪族の祭祀のあり方をも対象とし、天皇祭祀との関係を検討することで、古代国家の地方神祭祀の構造を明らかにする。そして奈良時代から平安時代後期にわたる変化を追い、古代国家の中世への変化を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
日本古代における、8世紀から9世紀にかけての地方神祭祀の構造・展開・特徴について考察した。主に六国史を用いて地方で国司が行う臨時祭祀と天皇が地方神に対して行う臨時祭祀の例を網羅的に把握し、両者の関係に注目した点に特徴がある。天皇の地方神祭祀については、神戸・神階の運用から考察した。その結果、9世紀においては、広く国司の臨時祭祀が存在し、必要に応じて天皇が国家における最高の祭祀執行者としてその祭祀を補完する構造を見出した。また8世紀段階と9世紀段階での時代差についても考察を深めた。その結果、8世紀段階では地方の祭祀事情に国司・天皇は積極的には介入していなかったと思われ、嵯峨朝を画期に、上記の地方神祭祀の構造は顕在化してくることを明らかにした。さらに、日唐比較を行い、日本の地方神祭祀の構造の特徴を検討した。『大唐開元礼』を主な史料として唐の地方官が行う地方神祭祀のあり方を中心に比較した。その結果、日本の場合、地方官(州官/国司)の祭祀事情に皇帝(天皇)が介入してくる構造自体が唐には見られず、日本の特徴であることを明らかにした。以上の研究は論文にまとめ、現在学術雑誌に投稿中である。 また次年度の研究を見据え、10世紀以降の国司祭祀に関する史料収集について若干作業した。研究計画にも記載したように、六国史終了後の時代では史料収集に工夫と多くの時間が必要だと思われるからである。結果、やはり当該時期の地方の関係史料を見つけるのは容易ではないが、和歌集など意外な史料に関係史料が含まれる可能性があることを見出した。本格的な検討は次年度に行いたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究計画通り、8世紀から9世紀にかけての地方神祭祀について研究することができた。研究計画は、奈良・平安前期から平安中後期にかけての天皇祭祀及びそれと連動する国司祭祀の究明を目的とするものである。本年度の研究はこのうち前半に相当するものであり、一定のまとまった見識を得られたからである。現時点では論文の活字化に至っていない憾みがあるが、引き続き掲載に努めたい。 またこれに加え、先行研究の少ない10・11世紀の地方神祭祀の研究を行う準備として、史料収集の方針を得ることができた点も成果であり、次年度の研究をスムーズに着手することができると考える。特に和歌集の利用は研究計画段階では想定していなかった収穫である。 以上より、現在までの達成度はおおむね順調に進展していると判断したい。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、計画通り10世紀以降に検討対象を広げ、古代中世の移り変わりについて取り組む。そのために具体的に行う作業は以下の通りである。 ①当該時期の国司の(臨時)祭祀の史料の収集。当該時期の中心的史料である古記録には表れにくく、『今昔物語集』や『古今著聞集』や和歌集など文学系統の史料をも広く調べる。 ②地域社会の僧侶や寺院の存在形態の実態把握。中世では神祇祭祀も神仏習合の影響を強く受けており、仏教の展開を合わせて把握することが必要になると考えられるに至ったからである。 ③朝廷が行う臨時祭祀(神事・仏事を含む)の平安期を通じた把握。地方における国司の祭祀は中央のあり方と連動する可能性があり、比較的史料の富む朝廷の臨時祭祀の変遷を把握することが必要であると判断した。
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