3Dプリントを用いた軽量・衝撃吸収・形状記憶メタマテリアル開発
Project/Area Number |
22KJ2067
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Project/Area Number (Other) |
21J20611 (2021-2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2021-2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 26040:Structural materials and functional materials-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鐘ヶ江 壮介 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2022: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2021: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | メカニカルメタマテリアル / マルテンサイト変態 / 弾性ひずみエネルギー / bistable / 大変形 / 異方性 / 有限要素法 / パラメトリックモデリング / PXCM |
Outline of Research at the Start |
周期的な微細構造を作り込み,既存物質では実現が不可能な特性を発現させる材料はメタマテリアルと呼ばれる.我々は新しいメタマテリアルとして,原子や電子の振る舞いを模倣した原子模倣(Atom-mimetics)材料を提案する.材料の物性は,原子配列とそれらの原子を取り巻く電子の状態に由来する.原子模倣材料の創製によって,希少元素のもつ特性を他のより安価な元素に持たせることが期待される.本研究では,原子の振る舞いを模倣した格子構造制御による機能化の試みとして,超弾性や形状記憶特性を示すと期待される格子構造の設計,作製および特性評価を行い,メタマテリアルの新しい設計・創製の指針を示すことを目的とする.
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Outline of Annual Research Achievements |
材料の物性は,原子配列と原子を取り巻く電子の状態に由来する.原子や電子の振る舞いを模倣したメタマテリアルの創製によって,希少元素の特性を安価な元素に持たせることが期待される.これまでの研究で,原子の振る舞いを模倣した格子構造制御による機能化の試みとして,原子配列を模倣したメタマテリアルの新しい設計・創製の指針を示した.本研究では,結晶性材料の相転移を模擬した構造転移を発現するセル格子多孔体(PXCM)の設計手法を確立し,PXCMを3Dプリントにより造形し,その構造転移挙動の評価と設計手法の検証と改良を目的とする. PXCMに面心立方構造を組み合わせ多方向に構造転移できるよう設計したMulti-Axis PXCM (MA-PXCM)について,変形挙動の異方性を有限要素法を用いて解析した.周期境界条件を設けた単位格子モデルに対して種々のひずみを加えるシミュレーションを行い変形挙動の異方性を確認した.これまでの境界条件では,周期性の異方性を反映できないことがわかった.このため,構造自体の方向を回転し,歪みを与える有限要素モデルを作成した.現在,このモデルについて大変形を加味したシミュレーションを実行している. マルテンサイト変態や双晶変形の素過程であるせん断による原子配列変化に注目したPXCMとしてMartensitic PXCM(MPXCM)を設計した.MPXCMのせん断変形に伴う弾性ひずみエネルギー変化を解析し,MPXCMの設計条件を求め,設計したMPXCMを3Dプリンタし,設計指針の妥当性を検証した.MPXCMにおいてせん断変形時に生じる弾性ひずみエネルギー変化を梁の伸縮によるものと弾性ヒンジの曲げによるものに分けて計算することで,MPXCMが双安定となる条件を定式化することができた.また,MPXCMを熱可塑性ポリウレタンで3Dプリントし,求めた条件が妥当であることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MA-PXCMの有限要素法シミュレーションについては,周期境界条件が実験結果と一致しないことが分かり,あらためて有効なシミュレーション方法を検討している.一方で,MPXCMの設計および変形挙動解析においては双安定条件の定式化ができ,順調に進行している. 当初の計画通り,2022年度はMA-PXCMについて実験と比較することで周期境界シミュレーションの妥当性を検証した.検証したところ,実験とシミュレーションで変形挙動に相違点が見られた. MA-PXCMの圧縮実験では<111>方向に圧縮したとき一層ごとに飛び移り座屈が生じたが,単位格子モデルのシミュレーションでは,飛び移り座屈が同時に起きた.この相違点は,有限要素法シミュレーションの境界条件の設定によるものである.これは単位格子モデルの周期境界条件が<100>方向にのみ有効でその他の方向に対しては境界条件を改める必要があることを意味する.複数周期の構造体の中で単位格子が隣接する単位格子と及ぼす影響を計算するため均質化法を導入する. マルテンサイト変態や双晶変形の素過程であるせん断による原子配列変化に注目したMPXCMを設計した.せん断変形に伴う弾性ひずみエネルギー変化を解析することで,せん断変形によって準安定状態が現れる双安定構造を有する2次元格子構造の設計における制約条件を求めた.その結果,MPXCMの準安定状態が出現する条件を定式化することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は,引き続き設計と力学特性との関係を計算しデータを蓄積するとともに,昨年度までに作成したMA-PXCMの変形挙動の異方性を解析する有限要素法シミュレーションの最適化を行う.加えて,MPXCMの力学特性を評価するシミュレーションを行うとともに,結晶粒や双晶などの格子欠陥の概念を取り入れるため,分子動力学法により計算される多結晶モデルに構造転移メタマテリアルを適用する手法を確立する.具体的には下記の二つの項目の研究を実施する. (1)MA-PXCMの大変形挙動の解析において,実験では一層ごとに飛び移り座屈が生じるのに対し,作成した有限要素モデルでは全層で同時に座屈が生じた.本年度は,より再現度の高いシミュレーションを行うため,境界条件を再検討する.複数周期の構造体の中で単位格子が隣接する単位格子と及ぼす影響を計算するため均質化法を導入する. (2)2023年度はMPXCMについて,構造の周期性や使用材料の影響を調査するために有限要素シミュレーションを行う.まず,単位格子に周期境界条件を加えた変形シミュレーションを行い,無限周期としたときの力学特性や双安定性を評価する.さらに,周期数を制約した条件で変形シミュレーションを行い,無限周期の場合と比較することで,周期性が力学特性および双安定性に及ぼす影響を評価する.また,結晶粒や双晶などの格子欠陥の概念を取り入れるため,有限要素法モデルに格子欠陥を入れて計算し,実際の原子がマルテンサイト変態する様子を,分子動力学法を用いて再現し,これらを比較する.さらに,より実際の原子の振る舞いに近いメタマテリアルの創製のため3次元のマルテンサイト相転移型メタマテリアルの設計指針の検討を行う.
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Report
(2 results)
Research Products
(21 results)