光酸化還元触媒を用いた新規炭素ーフッ素結合変換反応の開発
Project/Area Number |
22KJ2125
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Project/Area Number (Other) |
22J10775 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 33020:Synthetic organic chemistry-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉原 尚季 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 脱フッ素変換 / 光酸化還元触媒 / パーフルオロアルキル化合物 / フェノチアジン / 含フッ素アルコール |
Outline of Research at the Start |
含フッ素有機化合物は特異な物性を有することから、医薬、農薬、材料など幅広い分野で利用されている。入手容易なパーフルオロ化合物を原料とした位置選択的な炭素-フッ素結合の直接変換が可能となればフッ素を多く含んだ複雑化合物の合成が格段に容易となる。申請者は独自に開発した光酸化還元触媒を用いることで様々なパーフルオロアルキル化合物の選択的な脱フッ素変換反応が進行することを見出している。本研究では、独自に開発した光触媒を利用した光酸化還元触媒によるパーフルオロアルキル化合物の選択的な脱フッ素化により得られる活性なラジカル中間体を活用した変換反応の開発とそれを利用した医薬品のフッ素置換類縁体合成を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では不活性な炭素-フッ素結合を光酸化還元触媒による一電子移動を利用することで選択的に変換する手法を確立することを目的とする。本年度は、「パーフルオロアルキル化合物とアレーンの直接的な脱フッ素アリール化」と「脱フッ素変換反応によるヘテロ原子の導入」に取り組んだ。「パーフルオロアルキル化合物とアレーンの直接的な脱フッ素アリール化」においては、適切な光酸化還元触媒と添加剤を用いることで効率よく反応が進行した。添加剤により脱離するフッ素アニオンを捕捉することが反応進行のカギであり、光触媒との協働により温和な反応本手法により多様なヘテロアレーンを導入可能であり、医薬品の短工程合成についても現在検討を行っている。 「脱フッ素変換反応によるヘテロ原子の導入」においては、新たに設計した光酸化還元触媒を用いることで様々なパーフルオロ化合物の選択的変換が可能であった。有機色素であるフェノチアジンに置換基修飾を施すことで高い還元力を有し、従来の光触媒系では適用不可能であった電子供与性置換基を有するパーフルオロアルキル化合物も変換可能であった。本反応により得られた生成物はさらなる脱フッ素変換により、多様な含フッ素アルコールへ誘導可能であり、脱フッ素化を鍵とする新たな合成手法を見出した。また、エナンチオ選択的な含フッ素アルコール合成についても取り組んでいる。光触媒による脱フッ素化過程における触媒作用の機構を解明するために各種分光測定を行った結果、三重項種が長い励起寿命を有することも明らかとし、これが反応効率を向上させていると考えられる。今後、速度論的な解析も行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り、「パーフルオロアルキル化合物とアレーンの直接的な脱フッ素アリール化」および「脱フッ素変換反応によるヘテロ原子の導入」に関しては現在論文投稿の準備中である。また、高効率かつ高還元電位を有する光触媒は今後さらなる活用が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、開発した新規光触媒の詳細な物性解明を行う。分光測定による速度論的な解析により、光触媒の作用機構を明らかにする。また、解明した機構をもとに量子化学計算により得られた値との比較により触媒の設計指針をたて、さらなる高効率光触媒の創成を目指す。また、骨格修飾を施し、基質認識部位を有する有機色素の合成と選択的な変換反応への利用を行う。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)