Project/Area Number |
22KJ2190
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Project/Area Number (Other) |
22J20527 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 13010:Mathematical physics and fundamental theory of condensed matter physics-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩下 航 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 摩擦 / トライボロジー / 粘弾性体 / 滑りの核形成 / ヒステリシス摩擦 / 前駆滑り / 有限要素シミュレーション |
Outline of Research at the Start |
本研究では、マクロ系での摩擦予測・制御を可能にするために、連続体解析に基づいた理論を導くことを目的とする。特に、工学的にも重要でありながらマクロでの物理的な理解が十分でない有限加速下での摩擦を解明するため、有限要素シミュレーションを行い、摩擦係数の速度依存性を調べる。変形状態や応力の解析によって理論を導き、それを基に摩擦制御の手法を提案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
マクロ系での摩擦予測・制御を実現するために、以下の2つの課題に取り組み、連続体解析に基づいた摩擦の理論を導いた。 研究課題1 「溝の設計による摩擦制御」:従来、低次元格子モデルを用いた研究が活発に行われてきたが、このようなモデルでは、物体内部の変形の影響が無視されており、現実的な系での摩擦を再現できるのかは不明であった。そこで、本研究の大規模計算によって3次元形状を持つ溝付き物体の摩擦を調べた結果、静止摩擦が摩擦面の溝のサイズの減少関数であることが示された。さらに、理論解析の結果、溝の形成によって物体内部の剛性が変化し、それが局所的に発生する滑りの安定性と摩擦に影響することが明らかになった。この成果は、潤滑や材料変更に依らない、物体の形状設計のみによる新たな摩擦制御の指針を示したという点で画期的であり、論文が出版された。また、これに関連して、若手研究者交換留学プログラムの参加を通して、国際共同研究も始まった。そこでは、摩擦面にうねりの形状を加えることで、より効果的に静止摩擦を制御できることが明らかになった。この成果については、学術誌への投稿論文を準備中である。 研究課題2 「粘弾性体のヒステリシス摩擦」:有限速度で駆動させた粘弾性体に物体を押し当てると、物体の前後で圧力に差が生まれ、これが物体にかかる抵抗となる。この粘弾性に由来する摩擦をヒステリシス摩擦と呼ぶ。駆動速度や物性に対するヒステリシス摩擦の依存性は明らかではない。そこで、本研究の大規模計算によって有限速度で駆動させた粘弾性体のヒステリシス摩擦を調べた結果、低速度域では、ヒステリシス摩擦が粘性と速度でスケーリングされるが、弾性波速度付近の高速度域では、連続体特有の現象としてそのスケーリングが破れることが明らかになった。この成果については、学術誌への投稿論文を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
大規模計算と理論解析によって、マクロ系の静摩擦と動摩擦の理論を構築することができた。成果発表にも注力し、論文出版2 件、国内外で6件の発表を行った。さらに、2023年度後期に得られた成果についても2024年度中に2 本の論文を投稿する予定である。成果発表を通して、本研究と関連する実験や理論の研究の専門家らと研究結果や今後の展開について議論を行うことができた。また、若手研究者交換留学プログラムに参加し、ETH Zurich(スイス)での留学を通して、世界の様々な研究者との共同研究も始まっており、研究がさらに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
静止摩擦についても多様な物体形状に対する依存性などを継続して調べる予定であるが、今後は特に、有限速度下の粘弾性体のヒステリシス摩擦に注力して研究を進める。まず、未解明な点が多い弾性波速度付近の高速度域での理論の構築を目指す。次に、物体形状に対する依存性も調べ、ヒステリシス摩擦制御のための物体の形状設計の指針を示す。さらに、異なる粘弾性モデルを採用した解析も行い、実験の再現に適した粘弾性モデルの検討も行っていく。また、プロジェクトの最終年度となることから、論文出版や学会発表を通して、これまでの成果を国内外に積極的に発信していく。
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