Fabrication of artificial capillary particles that recognize hypoxic environments to supply oxygen and nutrients for the construction of thick 3D tissue
Project/Area Number |
22KJ2191
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Project/Area Number (Other) |
22J20533 (2022)
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Multi-year Fund (2023) Single-year Grants (2022) |
Section | 国内 |
Review Section |
Basic Section 90120:Biomaterials-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
富岡 大祐 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2024: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2023: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2022: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 酸素徐放材料 / 組織工学 / 再生医療 / 足場材料 / 過酸化カルシウム / ヒドロキシアパタイト |
Outline of Research at the Start |
組織工学において、200マイクロメートル以上の厚さを有する三次元組織体の生体外構築は未だ困難であり、その原因として組織体内部への酸素と栄養の供給不足があげられる。これらの問題を解決するために近年、酸素徐放足場材料が注目されているが、低酸素環境に応答して酸素の徐放を開始することは未だ課題である。そこで本研究では低酸素環境を認識して酸素と栄養の徐放を制御する人工毛細血管粒子の作製を行う。組織体の低酸素環境では pH が弱酸性に傾くことが報告されているため、pHに応答した徐放制御の材料設計を考えた。本材料を用いることで、厚い三次元組織体の構築や移植した組織体の生着率の向上が期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
組織工学において、200マイクロメートル以上の厚い三次元組織体の構築は未だ困難である。その原因として、組織内部への酸素供給不足があげられる。近年、酸素徐放足場材料が注目されており、例えば、水との反応で酸素、過酸化水素、水酸化カルシウムを生成する過酸化カルシウム (CPO) を酸素源に用いた材料が報告されている。しかしながら、CPOは水との迅速な反応が原因で持続的な酸素徐放が困難であった。 そこで本研究ではCPOの表面修飾を行うことで、酸素徐放制御が可能な酸素源を作製した。具体的には、CPO表面をヒドロキシアパタイト (HAp) でコーティングし、水との反応を抑制することで10日間にわたる持続的な酸素徐放を達成した。また、HAp-CPOを内包した酸素徐放ゲルの存在下で三次元組織体を構築したところ、材料からの酸素供給により組織体内部の細胞死の抑制が示唆された。さらに、組織体内部から酸素を供給するために、HAp-CPOを過酸化水素分解酵素のカタラーゼとポリリシンのLayer-by-Layerナノフィルムでコーティングした酸素徐放マイクロ粒子を作製し、三次元組織体の構築に応用した。 HApの他に、アモルファス炭酸カルシウム (ACC) によるCPOの表面修飾も行った。ACCは弱酸性環境において溶解するため、ACC-CPOは弱酸性環境選択的な酸素放出挙動を示した。組織体の低酸素環境ではpHが弱酸性に傾くことが知られているため、ACC-CPOは低酸素環境を認識した酸素供給への応用が期待される。また、2023年9月から12月までドイツのアーヘン工科大学に留学し、マイクロ流路システムを利用した酸素徐放マイクロゲルの作製も行った。本研究で開発した酸素徐放材料は組織工学や再生医療における酸素不足の問題を解決し、生きた厚い三次元組織体の構築などへの応用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組織体の低酸素環境ではpHが弱酸性に傾くことが知られている。したがって、当初の研究計画ではpHに応答して酸素透過能が変化する薄膜を利用することで、低酸素環境を認識した酸素徐放制御を考えた。一方、CPOの酸素放出挙動を調べていくと、炭酸イオンとリン酸イオンの存在下でCPO表面にアモルファス状態の炭酸カルシウム (ACC) が形成され、酸素放出が抑制される現象を発見した (ACC-CPO)。興味深いことに、ACCは弱酸性環境で溶解する性質を有するため、ACC-CPOは細胞培養液中で弱酸性環境を認識した酸素放出挙動を示した。これらの結果から、ACC-CPOは低酸素環境を認識した酸素供給への応用が期待される。 三次元組織体内部から酸素供給を行うために、酸素徐放マイクロ粒子の作製も行った。具体的には、HAp-CPO表面に過酸化水素分解酵素のカタラーゼと細胞接着性のポリリシンから成るLayer-by-Layer (LbL) ナノフィルムをコーティングしたLbL-HAp-CPOを作製した。LbL-HAp-CPOを内包した三次元組織体を構築したところ、細胞同士が接着した高細胞密度の組織像が観察された。したがって、LbL-HAp-CPOが組織体内部から酸素を供給することで、酸素不足に由来する組織体内部の細胞死を抑制したことが示唆された。これらの研究結果から、当初の研究計画とは異なるものの、本研究で開発した酸素徐放材料は本研究の目的である低酸素環境を認識した酸素徐放制御や厚い三次元組織体の構築への応用が期待される。したがって、現在までの研究進捗状況はおおむね順調であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究ではLbL-HAp-CPOの最適化を行う。具体的にはLbLナノフィルムの膜厚が、過酸化水素分解能、酸素放出挙動、細胞接着性に与える影響を評価し、最適化されたLbL-HAp-CPOを用いて三次元組織体を構築する。さらに、作製した三次元組織体について、組織像の観察や免疫染色による評価を行い、LbL-HAp-CPOからの酸素供給が三次元組織体構築に与える効果を詳細に評価する。 当初の研究計画において、生体外で生きた厚い三次元組織体の構築が困難な理由は、組織体内部への酸素と栄養の供給不足に由来すると考えた。一方、これまでの研究において、酸素徐放材料からの酸素供給により細胞同士が接着した高細胞密度の三次元組織体が得られた。したがって、材料からの酸素供給により組織体内部の細胞死が抑制されたことが示唆されており、酸素供給のみで生きた厚い三次元組織体の構築が可能になると期待される。実際に、実験に使用している細胞培養液には大気との平衡状態で約数mg/Lの酸素しか溶解しないのに対し、栄養素であるグルコースは4500 mg/Lも溶解している。つまり、培養している組織体の内部は栄養不足よりも酸素不足に陥りやすいと考えられる。今後の研究において、酸素徐放足場材料を用いて構築した三次元組織体を評価し、材料からの栄養供給も必要であるか明らかにする。栄養の供給が必要な場合、栄養素としてグルコース重合体とグルコース重合体をグルコース単位で加水分解する酵素のアミログルコシダーゼ (AMG) を内包したハイドロゲルを作製する。AMGの最適pHは弱酸性であるため、低酸素環境においてより多くのグルコースが生成されると期待される。さらに、弱酸性環境を認識して酸素を放するACC-CPOもハイドロゲルに内包することで、低酸素環境を認識して酸素と栄養を供給する材料を作製する。
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Report
(2 results)
Research Products
(13 results)